エッセイみたいなもの

今日のエッセイ アプリ起動中 2021年3月6日

どうにも答えが出せないことがあります。この答えと言うというのは、「よしこれでいこう!」というような決断みたいなものがほとんどで、それがスパッと決められるときは良いのだけれど、なかなか決められずに考えていることがある。お店を営業しているときに起きているような具体的なこと、例えば「この魚を買おう」とか「このお客様の部屋はあっちにしよう」とか、そういったことは早いよね。逆に答えを決められないときっていうのは、将来のことについて「あれもいいし、こっちにしても良さそう」といった具合で、どちらの道もそれなりに良さそうな時が多い。

こんなとき、僕は「答えの出ない問い」そのものを、一旦寝かせることにしている。寝かせたところで料理みたいに熟成して味が良くなるわけじゃないのだけれど。とりあえず脇の方へそっと置いておく。いつでも手が届くよってくらいの感覚でね。

僕の感覚では、パソコンやスマホでバックグラウンドアプリを起動させておくようなイメージなんだけど、伝わるかな。ふぃーんって静かな音を立てて思考が起動しっぱなしになる。

決断が出せないときは、僕の中にいくつもの足りないピースがあるんだと思う。ロジックで未来までの見通しを何パターンも考える時間が足りない。自分自身の感情の整理がついていない。そもそも必要な情報が揃っていないとか。そういった色々な種類のピースが欠けているはずなんだけれども、どのピースがどのくらい足りないのかが、自分ではわかっていないんだよね。困ったことに。

だから、僕は一旦バックグラウンドで起動させっぱなしにして置いておく。

そうすると、日常生活の中でよくわからないものがポンポンとインプットされていって、バックグラウンドアプリが自然に必要な情報だけをピックアップしていくのね。起動したままにしておくと、無意識で必要なものを取り込んでいけるのだけれど、完全にシャットダウンしてしまうと必要なものに出会った時に判別が出来なくて素通りしてしまうということになる。

この時に、答えが早く欲しいなら単純にインプットする量を増やすんだ。新聞とかヤフーニュースとかテレビとか何でも良いのだけれど、政治、経済、スポーツ、芸能、テクノロジー、地域のニュースを片っ端からインプットしていく。できるだけ、一つ一つに感想を思い描きながらどんどん次に行く。インプットしている瞬間は何の答えも出ない。出ないけれど、そのままにしておく。しばらくの間に、アプリがずーっと起動しているから無意識下で思考のプロセスが進んでいく。そうすると、あるときアプリから通知が来るんだよね。「処理が完了しました」つまり「思いつきました!」って通知がね。

これが「降ってきた」という状態で、どういうわけか「降ってくる」のはお風呂に入っている時だったりベッドに入った直後だったりする。というのは、これを読んでいる皆さんも経験があるでしょう。

だから、僕の場合はこれを意図的に発生させるために行動をちょっと工夫しておくってことなんだ。やっている人も多いだろうから今更言葉にすることもないのだろうけれど、質問されたので言語化してみました。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

-エッセイみたいなもの
-