好きな人に好きなことをすすめられると、それは伝わるよね。
例えば、料理を作るか食べるのが好きな人がそれをおすすめするとき。きっと聞いている人にも伝わるのだと思うのです。好きのオーラが出てるのかな。この人が好きだって言うのなら、僕も買ってみようかなっていう気になってくる。
先日、友人に「これめっちゃくちゃうまいから買ってみて。」といわれて、その気になって一個1980円もするコンビーフの缶詰を注文してしまった。送料が1340円だから3000円を超える高級コンビーフである。「太郎が好きかどうかはさておき、おれはめっちゃ好き。」という一言が購入の決め手だったから恐ろしい。あの手この手の営業マンよりもよっぽど強烈な一撃だ。
僕の好きな友人が肉好きで、その人がめっちゃ好きというシンプルさ。なんか心に刺さるものがあるよね。
先月(2月17日)のエッセイで「好きをインストールする」という話を書いたのだけれど、僕のフィルターがひとつ剥がれて、肉を見る目がまた少し変わるかもしれない。こうのがちょっとずつ増えていくと僕らの作る料理の幅も少しずつ広がっていくのだろうね。
僕らの作る料理に非日常的なものが多いのは、こういう「好き」をインストールしてもらうという使命もあるのかもしれない。もしかしたら、そんな役割もあるのかなというような気もしてくるよね。普段はめったに口にすることがない食材だってさ、「これめっちゃうまいよね」って感じれば「好きな料理」のバリエーションが増えるもの。僕らが食べてみて美味しいと思ったものは、「ねぇ、これめちゃくちゃ美味しいから食べてみて」とお客様にもオススメする感覚なんだよね。
先日も「越冬トマトのお浸し」をお出ししたら、「トマトってこんなに美味しいの?!」ってびっくりされたんですよ。もちろんそのまま召し上がっても美味しいトマトなのだけれど、もっと美味しい料理にすることも出来る。そうすると、トマトが好きな人はまた食べたいと思うだろうし、トマトが苦手な人も少しは苦手が改善するかもしれない。「どこで売ってるの?」と聞かれることもある。
お客様に少しでも色んな料理や食材を美味しく伝えることは、食材のセールスにもなっているのだ。と僕は思っている。トマトだって、お茶だって一所懸命に作っている生産者さんがいて、少しでもたくさんの人にその美味しさを知ってもらいたいと思っているはずだよね。僕らは、それを食べてもらえる環境にあるんだから、しっかりと美味しさを引き出して沢山の人に知ってもらえるようにならなくちゃね。
プレミアム会員さまには、時々食材や加工済みの料理をおすそ分けしていきたいと思っています。何か食べたいものがあったら言ってくださいね。僕ら頑張っちゃうから。