エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 八十八夜まであと47日 2021年3月15日

もう少しで新茶の季節がやってきますね。新茶の摘み始めまであと1ヶ月半といったところかな。本格的に新茶のシーズンがやってくると、なんとなく街がソワソワし始めるんですよ。春だからっていうのもあるのかもしれないけれど、県内のあちこちがソワソワした雰囲気になるのは産地だからかなあ。県外の人だとその雰囲気すら気が付かないのかもしれないね。

僕の親しい親族にはお茶農家はいないんだけど、それでも子供の頃は友達の家のお手伝いで茶摘みをしていたし、親族にお茶農家がいる家はみんな茶摘みの手伝いをしたことがあるんじゃないかな。そうそう、知らない人にはすごく驚かれるんだけど、「茶摘み休暇」を認めている企業だってあるんですよ。正式名称ではないけれど、「来週実家の茶摘みがあるんで会社休みます。」って言うと「わかった。頑張れよ。」という会話が成立するんですって。会社を休む理由が茶摘みって、都会の企業だったらどんな反応するんだろう。ちょっと不思議な感覚かもしれないですね。
自分の身内に茶業関係者がいなくても、そんなふうに茶業が生活に密着しているというのが、やっぱり茶処という地域性なんですかね。僕は知らないのですけど、他の地域でも似たような現象があるのかな。米処は「田植え休暇」とか。それはさておき、これだけ「お茶産業」が生活の近いところにあると、新茶のシーズンと言うだけでソワソワし始める空気があるんですよね。

茶摘みが始まると、市内のアチコチで一斉に茶工場(ちゃこうば)が稼働し始めます。そうするとね、市内のアチコチでお茶の良い匂いがするんですよ。これがまた良いよね。体験したことがない人は、ホント近くを通過するだけでも体験して欲しいです。茶香炉って知ってます?ざっくり言うと茶葉を使ったアロマなんだけど、巨大な茶香炉が市内のアチコチで一斉に火が入るのと一緒だから。匂いに関しては。ね。スゴくない?市内全域アロマですもん。最近は茶工場も近代化しているから昔ほどの匂いがないと言われているけれど、それでもスゴイから。
春、静岡県に観光でいらっしゃる方は、茶畑の景色を見たいということが多いんですよ。それは間違いなく壮観ですし、美しい風景。その景色を堪能したらさ、せっかくだから茶工場の辺りへ足を伸ばしてほしいんですよね。景色は写真に撮れるけれど、匂いだけはそこに行って体験する以外にないから。

掛川近郊で茶処を楽しみたい方は連絡ください。多少なりとも紹介できるところがありますよ。で、よかったら掛茶料理むとうでお茶料理とお茶のペアリングも楽しんでください。うちもちっちゃい茶畑があるからね。もう少しで茶摘み休暇が来ます。その日は店を休みにしてみんなで茶摘みに行くんだ。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

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