エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 美しいと感じる所作 2021年5月25日

意外と知らない「作法」とか「しきたり」ってありますよね。「作法を気にしすぎて料理の味がよくわかんない」というのじゃもったいないけど、食事の所作が「美しい」と一緒に食事をしている人も「なんか良い感じ」の雰囲気を味わえるもんね。

顔合わせや結納、接待なんかのときには最低限の「作法」くらいは慣れておきたいって人も多いんじゃないかな。実際、そういうのを教えてほしいって言われることもある。ということで今日は「食事にまつわる美しい振る舞い」です。

荷物の置き場って、けっこう困るよね。和室でもテーブルでもさ。一番やっちゃいけないのは「食卓の上に置く」こと。これは、世界中のほとんどの国で「下品」な行為とされているんだよね。バッグを置くのは論外として、ケータイとかおサイフ置いてない?男性に多いかもしれない。というのも、普段ズボンのポケットに入れているから座る時にじゃまになるんだろうね。バッグの中に入れておくのが一番スマートだけど、手元においておきたいという人はジャケットを羽織って、内ポケットに入れておくのが良いかも。

バッグは椅子の背中のところに置くのが良いって聞くよね。もしそれが邪魔に感じるなら「お店の人に聞く」というのが一番スマートだと思う。足元に置く人も見かけるけど、配膳の時にウェイター・ウェイトレスが躓くこともある。だから聞いてお願いするのが良いんじゃないかな。

今までいらしたお客様で、荷物に関して一番美しい所作をされていた方は「食事に出かけるときは、なるべく荷物を小さくまとめる」ようにしているとおっしゃっていたなあ。もちろんそれが出来ない状況だってたくさんあるけどね。そういうときは遠慮なく「預かって」と言っちゃってください。ウェルカムです。

料理が運ばれてくるとき、どうして良いかわからなくて皆で無言になってしまうこともあるんですって。確かにね。うちの店でもそういうシーンを見かけることもある。

基本的にはそのまま会話していれば良い。特に気を使うこともないでしょう。ただ、前のめりになっていると料理を置くことが出来ないから、少しだけ居住まいを正しておくとスマートかな。

さらに上手な人になると、少しだけ会話の間を開けたりする。料理の説明をする時間をちょっとだけ撮ってくれるんだよね。会話の流れを切らないくらいの感じで。このあたりは上級テクニックになるんだろうけど、接待なんかでやると「出来る人」っていう感じがする。そういう演出のためにも少し慣れておくと良いかもしれない。

ちなみに、どちら側から配膳するかは、和食と洋食で違う。洋食の場合は「左後ろ」からというのが大原則。和食の場合は「正面」から。「正面」から配膳が出来ない環境の場合は「右後ろ」から。逆なんだよね。

洋食の場合は「右側はドリンクがあるから反対の左側から」という、合理的な理由。和食の場合はお客様を上位として下手からお出しするというのが理由。「左上右下(さじょううげ)」と言って、右側の方が格下だから右側から。服の合わせも障子も襖もこれに倣って上下が決まっているんだって。

結局「作法」とか言っているけど「気遣い」なんだよね。そして、さりげなく。そう、これが大事かも。「さりげない気遣い」をサラッとやってのける人の所作をみると、「美しい」って感じるんだろうね。人間っていう生き物は。

今日も読んでくれてありがとうございます。今回は食べ方の作法じゃなくて、振る舞いについてでした。食べ方はそのうちに改めて解説しますね。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

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