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今日のエッセイ ご飯を美味しく食べるために料理がある? 2021年6月5日

日本料理とか和食とかの言葉の定義がややこしくてかなわない。そんな定義はさておき、長いこと日本に定着してきた食文化のひとつを紐解いてみます。
ぼくは、これがホントに興味深い特徴だと思ってるんだけど、誰かに話してもあんまりピンとこないみたいなんだよね。

日本は米を食べるための食文化。と言っても意味がわからないよね。もうちょっと詳しく言うと、「ご飯」を美味しく食べるためにそれ以外の料理を食べる、ということになるかな。もちろんそれ以外の料理もあるよ。だけど、過去から現代に至るまでを見ると大半が「ご飯のための料理」なんだよね。

洋食と比較してみるとわかりやすいかもしれない。例えばヨーロッパではパンがご飯に該当するよね。主食という意味でだけど。ちょっと乱暴な表現をしてしまうけれど、ヨーロッパの食文化では、パンを美味しく食べるための料理なんて無い。パンはパン。シチューはシチュー。それぞれに単体として独立した食べ物なの。一緒に食べるとパンがすすむわぁ、といった感覚は無いんだよね。
日本の場合は、美味しい煮物や焼き物に出会うと「ご飯がすすんじゃう」って表現することがあるでしょ。料理が美味しいと、元々美味しいのがわかっているお米というものがもっと食べられて幸せだ。ということを言っている。ね、ぜんぜん違うでしょ?

この感覚の違いのせいで、日本人が西洋に旅行に行った時にやってしまう代表的なマナー違反がある。例えば肉料理にかかってるソースがとても美味しかったとして、横にパンがあったらついやりたくなってしまうのが「ソースをパンで拭って食べる」だよね。日本人適発想だと「美味しいから」なんだけど、ヨーロッパではそうはならない。それぞれが独立して味わう食べ物として認識されているものだから、ソースを絡めて食べるなんて考えられないことなんだよ。どんなふうに感じるかと言うと「お前のソースは美味しくないから、パンに絡めないと食べられないんだよ」と言われているに等しい。もしかしたら「パンが不味くてソースつけなきゃやってられん」かもしれない。

主食という表現自体がとても日本的だもんね。この食品を中心として食べますよっていうのが主食。主って言ってるもんね。メインだ。これが英語になるとstaple foodになる。このstapleって単語は「かすがい」とか「つなぎとめる」という意味が強くて、それが転じて「主力」「主要」という意味になった言葉。
日本語は「主人公」を表していて、英語だとたくさんある中の「主力」という表現がニュアンスとして近いんじゃないかな。

まあ、米食文化圏では似たような傾向がみられるから、ご飯の特徴でもあるのかもしれない。

そんな中でも日本独自と言われるのは「口内調理」。聞いたことない?「おかずの味もしくは、おかずそのものが口の中に残っている状態でご飯を食べる。そうすることで、口の中で混ぜ合わせて味を変化させる。」というようなことを指して「口内調理」っていうんだけどね。こんなことをする民族は、かなり少数派。口の中で混ぜるくらいなら、初めから料理する段階で一緒にしとけば良いのに。って考えるのがグローバルでは多数派だってことね。
だけどさ、日本人がそれをやりはじめるとスゴイことになるよ。みんなご飯の上にいろんな料理を乗っけたものになっちゃうもん。
ホント日本人ってお米が大好きな民族なんだろうね。パン食に偏っていると言われている人だって、この文脈で語れば明らかに「お米好き」の影響を受けていると思うよう。だって「口内調理」やっちゃうでしょ。

今日も読んでくれてありがとうございます。会席料理ってお酒のため、つまり日本酒を楽しむための料理でもあるわけで、それはそれでやっぱりお米のための料理と言えなくもないかもね。

Posted in エッセイみたいなもの

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