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今日のエッセイ たべものラジオ「ポン酢のポンってなんだ?(続)」

ポンスの「ポン」の延長の話です。以前、この話をしたら、他にもないのかって聞かれてね。その辺りのことを書き出してみようと思います。

ジャガイモって、あれも半分日本語じゃないよね。だから、漢字が無い。馬鈴薯と書いてジャガイモのことを指すけれど、どうやって読んでもジャガイモとは読めないもんね。あれはバレイショ。
ジャガイモもオランダ船が日本に伝えたものだ。原産は南米だから、日本のものじゃないんだよ。ヨーロッパがアメリカ大陸に到達したことで世界に広まった植物だ。ということで、オランダはまたもや「伝える係」なだけで、ほとんど関係ない。
オランダは大航海時代に「オランダ東インド会社」というのを設立して、インドや東南アジアとの貿易をしていた。というのは教科書にある通り。でね、この会社のアジアの拠点がインドネシアにあって、今のジャカルタなの。当時はジャガトラとかジャガタラとか呼ばれた都市国家だったみたいなんだけどさ。日本に来るときには当然ここを出発してやってくるのね。で、「ジャガタラからやってきた芋」という…。鎖国って凄いね。世界が見えないせいで、こういうことになっちゃう。
ちなみに、江戸時代には「じゃがたら芋」という記載があるから、初めはそんな感じだったんだろうね。それが縮まってジャガイモ。もう、何でも言葉を縮めるもんだからこういうことになる。現代の縮め言葉も100年もしたら意味がわからなくなっちゃんだろうな。

あと、スイカもちょっと変でしょ。西瓜って感じで書くとなんとなくアジアのものみたいだけど、原産はアフリカだ。5000年くらい前からあるもんだから、アフリカの何処が原産地かはっきりしないんだけど、エジプトの壁画にも描かれているくらい古くからある。語源はスィーグァ。中国語ね。
さらにいつ日本にやってきたのか、どこを経由してきたのかもわからない。室町時代説が濃厚なんだけど、それが中国からやってきたのかポルトガル船が持ち込んだのかが不明だ。
西瓜という文字は、中国から伝わったんだって。日本の西側からやってきたわけじゃないし、そもそも日本の感覚としては「南蛮渡来」の言葉の通り、南からやってくるか中国からやってくるかの二択なわけ。西から来るという概念は存在しないからね。変だと思ってたんだ。西瓜は「中国から見て西側からやってきた」という意味でこう表記されている。なんとなく、文字も本体も中国経由な気もするけどね。

瓜系はこういうの多いよね。カボチャなんかも代表格。現代の主流はホクホクしてて甘みの強い「西洋カボチャ」、ネットリしていてあっさりした味の「和カボチャ」が在来種として存在した。なんて説明を見るけれど、そもそもカボチャに在来種なんて無いもん。原産地はメキシコらしいことが最近の研究でわかってきた。だから、これもジャガイモと同じルートでやってくるんだけどポルトガル船に乗ってきたみたいよ。鎖国の初期段階ではポルトガルもOKだったから。そもそも大航海時代の先駆けはポルトガルだしね。余談だけど、ポルトガルが衰退したからオランダとかイギリスが出ていくことが出来るという流れ。
これまた、メチャクチャな名前の付け方でさ。ジャガタラではなくて、カンボジアを拠点としていたポルトガル船が伝えたもんだからカボチャ。訛ったり変化したというわけじゃなくて、そう聞こえただけね。
感じで書くと南瓜だけど、これは中国語。ナングァって読むらしい。これまた、中国から見て南側からやってきたという意味。

胡瓜も実は外来の野菜だ。原産地はヒマラヤ山麓。伝達経路は中国ね。日本に入ってきたのは遣唐使の時代で600年ころ。空海や最澄が中国に留学した時代だね。仏教と同じ頃に入ってきたとされているよ。唐を経由しているんだけど、その唐もまた胡から伝わったもんだから胡瓜ということになった。ここでいう「胡」は春秋戦国時代の胡という国じゃなくて、ペルシア地方のソグド人のことを指していっている。イラン系の人たちで、現代だとトルキスタン地域にいた人たちだ。これまた、中国基準の漢字だね。
ちなみに、胡瓜はモンゴル地域の中国語?モンゴル語?では「クークァ」らしいんだ。でも日本人には発音しにくいじゃない。「クァ」がさ。で、クーうりって横着してたら、それが定着して訛ってキュウリになったと。どうも変だと思ったんだ。胡瓜を日本語らしく読めば「こうり」じゃない?どう訛っても「U」の音が出てこないんだもん。モンゴル語と日本語の混合発音で、漢字は中国で、原産はヒマラヤ。なんとも国際的な野菜だ。

同じ「胡」がつく食材に「胡麻」があるね。こっちは春秋戦国時代にあった国の名前の方なんだって。ややこしいわ。キングダムってマンガ知ってる?秦が中国を統一する話なんだけど、あのマンガの舞台担っている時代から200年くらい古い時代の国で場所はイランの北方にあったんだから、結局場所はトルキスタン地域だ。胡の国が滅んだ後も、その辺の人達を胡と呼んでいたのが胡瓜の時代。まだ国が存在したのが胡麻の時代。ついてきてる?ホントややこしい。
原産はアフリカのスーダン共和国のあるところ。エジプトのすぐ南隣の国だ。いつ頃から食べられているか古すぎてわからないのだけど、紀元前3000年には既に栽培がされていたし、エジプトの壁画には「胡麻って体にいいんだよ。」とか「薬としてこう使うんだよ」と象形文字で書いてある。胡麻って凄いね。日本に入ってきたルートは、想像する以外にない。もう、中国経由ってことでいいんじゃない?というのは乱暴だけどね。縄文時代の遺跡からも胡麻が発見されているんだって。縄文時代っていうとめちゃくちゃ昔みたいだけど、春秋戦国時代も同じ時代だからね。この頃にやってきたのかなあ。
明確にわかるのは、胡麻という漢字が日本にやってきたのはもっと後の話だ。縄文時代は文字がないんだからね。本体と言葉が別々にやってくるのは、歴史が古すぎるからだろう。文字は弥生時代(400年代)になるまで現れない。ついでにもうひとつバラバラにやってきたのは、胡麻の利用方法だ。胡麻が食用として日本で広まっていくのは奈良時代(600年代)になってからなんだとさ。まとめて輸入したらいいのにね。
胡麻が日本で普及したきっかけは、仏教の影響だ。動物食べちゃだめだから、胡麻や大豆で栄養を摂取したことで広まっていったというのが有力説ね。

今日も読んでくれてありがとうございます。こうやって紐解いていくと、ホントどこからどこまでを「和食」と呼んでいいのかわからなくなるよね。日本の在来種じゃなくたって、完全に日本化してるもん。ちなみに、日本在来の「芋」は、里芋だけだよ。里芋のネットリ感は日本人の遺伝子に組み込まれた稀有な食材だ。

Posted in エッセイみたいなもの

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