エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 糖質抜きダイエットの真相 2021年8月30日

10年ほど糖質抜きダイエットが話題に上がることが多くなっています。まるで糖質、炭水化物が悪者の様に扱われているのだけれど、果たしてそれはホントなのか。ということで、今日は炭水化物、糖質の話をします。

まず最初に、基本的な栄養学の話。「PFCバランス」という言葉を聞いたことがありますか?
P=Protein(プロテイン・タンパク質)
F=Fat(ファット・脂質)
C=Carbohydrate(カーボハイドレイト・炭水化物)
簡単に言えば、タンパク質と脂質と炭水化物の摂取バランスが大切ですよ、ということ。健康の維持のためにね。じゃあ、どのくらいのバランスが適正なのか。これは、はっきりしている。
タンパク質15%:脂質25%:炭水化物60%
多少のゆらぎはあるけれど、大体の目安でこのくらい。

ここまでは、人類の英知の結集だからさ。疑う余地はない。といって、これが糖質抜きダイエットが良いとか悪いとかいう話には繋がらないんだよね。それは、現時点での摂取バランスがどうなっているか、体がどうなっているかを知らないと判断ができない。まぁ、個人ごとに違うから一概に言えないんだけどさ。
とりあえず、一般論で話を進めることにしよう。

糖質の摂取を限りなくゼロに近づけたとする。となにが起きるか。体重計の示す値は、間違いなく減る。重さは減る。これは間違いない。と言う意味ではダイエットに成功と考えることも出来なくはない。あくまでも、指標を体重に限ればの話だけど。

なぜ、糖質を取らなくすると体重が減るのか。
要因はいくつかあるのだけれど、一番大きいのは「体内の水分保有量が減る」ことだ。体の7割は水。その水が減れば、簡単に重量は減る。単純な仕組み。
では、糖質が減ると水分が抜けるのはなぜか。ということだけど。水は糖質に抱えられている状態で体内にあるから。糖質はグリコーゲンという物質で体内にある。特にエネルギーをたくさん消費する「肝臓」とか「筋肉」ね。グリコーゲン一つに対して、水分子が3つ~4つが結合している状態。この常態でいられるから、水が体内に留まっていられる。グリコーゲンがなくなると、水を含んでいられなくなるから体外に出ていってしまう。
糖質を抜くと、かなり短期間で体重が減る理由で一番多いのがこれ。

糖質抜きダイエットをやったことがある人は、こんな経験ないかな。体重は減ったけど肌が乾燥しやすくなった、体脂肪はあまり減っていない。そりゃそうなるよね。水が減っただけだから。
あと、やめたらすぐにリバウンドした。ええ、必要な水分をもとに戻しただけなのでご心配なく。健康のために必要な水分量が戻っただけ。

ここまでは良い?

もうひとつ。グリコーゲンは比較的短期間で消費されるエネルギー源だから、蓄えにくい。家電で言えば電力。安静にしていても、300g~400gは消費してしまう。これは「体を維持」するために使用される。多少オーバーしたものが蓄えられるとしても、翌日の摂取量が足りなければすぐに消えてなくなる。

ちなみに、糖質が脂肪になって蓄えられることはほとんどない。ゼロじゃないけれど、余剰分の10%もあるかどうか。ええ?そうなの?と言われることが多いんだけど、違う物質に置き換えるエネルギーコストが大きすぎて、体にとっては非効率なんだってさ。でしょうね。と思うよ。
体内に脂肪として蓄えられるのは、まず第一に脂質。当たり前か。脂質だって悪者じゃないんだよ。脂質は「長期エネルギー」として使用されることが役割のひとつでもあるから、万が一の自体に備えて蓄えておこうとするのは、動物としてとても自然なことだ。飢餓状態のときに、最後まで生き残るのは脂肪をたくさん持っている人。

今日も読んでくれてありがとうございます。「だから糖質たくさんとっても大丈夫」と考えるのは早計だよ。ぼくが言いたいのは、「糖質ゼロ」はやりすぎじゃないかなってこと。専門で研究しているわけではないけれど、栄養学の基礎と新しい論文に目を通せば、こういうことになっているってことが書いてあるの。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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