エッセイみたいなもの

今日のエッセイ フードロスについて考えてみる。 2021年12月7日

フードロス。これは、人類がかかえる問題のひとつだ。文字通り地球上の人類が抱えている課題。これ、実は格差問題にも繋がっているし、環境問題にも繋がっている。もっと言えば、現代の消費社会の歪にも繋がっている。
飲食店という末端の一部でしかないのだけれど、この課題は放置していい問題ではない。にもかかわらず、ビジネスとして成立しなくなっちゃう部分が見えているのだ。つまり、現状の経済に振り回されていると言えるね。

食料廃棄が多すぎて、大変なことになっているよね。WHOが貧困地域に支援している食料の1年分よりも、日本で食料廃棄されている量のほうが多いんだもの。これを貧困地域にそのまま届けるだけで、その地域の食糧問題は随分と緩和されるはずだ。
廃棄される食料の大半は、実は流通で起きている。市場やスーパーマーケット、飲食店。こういった場面がほとんど。飲食店での食べ残しや家庭での廃棄は、流通で発生する量と比べれば少ないほうだ。

これも、実は経済のロジックに支配されているんだよね。例えば、スーパーマーケットに買い物に行くとして、いつもギリギリの量しか仕入れていないとしたら、買い物をする側としてはちょっと不便だよね。物がある時に買っておいて、自宅で保存することになる。食べたい時に手に入らない。そういうことが起きる。じゃあ、近隣に別のスーパーマーケットがあって、そちらはいつでも物が揃っているとしたら、どっちに買い物に行くか。そういう話になるんだよね。

売りてからすれば、機会損失。せっかく購入客が来てくれたのだから、その機会に販売したいじゃない。これって経済のロジックだ。そして、人間の便利さのためのものだ。ほんの数十年前。昭和の終わり頃までは、こんな便利な仕組みがなかったんだけどね。
欲しい物がいつでも並んでいるという状況を手に入れた代わりに、売れ残りが廃棄になる。工業製品と違って、生物は傷むから。売れ残ると廃棄になりやすいんだよね。

じゃあ、これを我慢しますか?って話になるんだけれど。もう戻れないんじゃないかな。社会の営みが、日常生活のスタイルが変わっちゃっているから、すぐさあとは変えられない。POSシステムで予測精度を上げて、AIで分析して。でも、どっかで限界が来るよ。社会システムのどこかに歪みがあるんだろうね。そこに手を入れないと根治は難しそうだ。

前にも書いたけれど、カレーライスのチェーンが賞味期限間近の冷凍トンカツを数トン廃棄したことがあって、そのときは廃棄業者が転売したことが問題になった。その問題もあるけれど、ぼくにとっての衝撃は大量廃棄が常態化していることと、それに違和感を覚えていない人間の感覚だったんだ。なんかおかしくないかい?ぼくらはそんな社会を望んでいたんだっけ?人類って、ずっと食料問題に振り回されてきた歴史ばかりだったはずだよね。なんてことが頭に浮かぶんだよなあ。

コンビニもスーパーマーケットも市場も、チェーンじゃないぼくらみたいな飲食店も。みんな他人事じゃ済まされないもんね。かと言って、会社が潰れたらそれはそれで沢山の人が困ることになるんだろうしさ。ビジネスモデルそのものを変えなくちゃどうしようもないところまで来ちゃっているのかな。

今日も読んでくれてありがとうございます。社会変革するようなアイデアはまだ浮かんでいないけれど、考え続けたい課題だよ。みんなが我慢せずに、豊かになる方向を目指しつつフードロスを解決することが出来たらめちゃくちゃスッキリする感覚がある。どうしたら良いのだろうね。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

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