エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 脱プラとキッチンの環境の話 2021年12月8日

2021年12月8日

フードロスだけじゃなくて、脱炭素もね。石油由来の製品をなるべく使わないようにしましょう、ということもあるよね。プラスチックやビニル素材のものがそれにあたるということなんだけどさ。なかなか難しい。

調理場で手近に有るものだけでも、結構いろいろある。キッチンラップ。これ、けっこう頻繁に使うよね。それから、タッパー。一部ホーローのものもあるけれど、ほとんどがプラスチックでしょ。不織布もあるし、食材を購入する時に使われていたビニルもある。基本的に野菜なんかはビニル袋に入った状態で売っていることが多いもんね。地元の農家さんから直接買うとか、箱買いするとか、そういう感じにしないと。

プラスチック製品が悪者になっているのだけれど、実はそうじゃない時代があったよね。かつては森林資源の減少が問題になっていて、森を守りましょうという文脈で社会問題だった頃が有る。その時代においては、プラスチック製品は救世主だったわけ。木をたくさん使わなくて済むからさ。しかも木材よりも長持ちするじゃん。ってね。
だから、そうなるとプラスチック製品をゼロにしてしまうと、またこの問題が表に浮上してくる可能性もあるのかもしれない。

話は戻るけれど。現代のキッチンでプラスチック製品を無くしてしまうと、結構大変なことになるんじゃないかいな。まな板も大半はプラスチック。オタマやフライ返しもそうだし、鍋についている柄もそうだ。ボールやザルは?食器も結構プラスチック多いよね。割れないグラスとか言って、透明プラスチックの技術も有るし。

真空包装に使えるのは、基本的に専用のビニル袋だ。これが無いと、そもそも真空包装ができない。そうすると真空調理も出来ない。真空調理は、エネルギーの削減に大きく貢献する調理技法のひとつでも有るんだよね。ガスや電気で長時間加熱をする必要がある料理も、短時間で出来るようになるというものだ。
それに、冷凍保存する際には、真空包装が効果を発揮する。とにかく保存期間が長くなる。昨日のフードロスにも繋がるけれど、廃棄せずにストックすることが出来るんだよね。ストックしないで、都度調理すれば良い。それはそれで間違いないのだけれど、今度は稼働コストが上がるからそれはそのまま価格に反映されることになるよね。そうすると、経営にも影響が出る。

これはマジで難しいバランスだよ。タッパーだって、プラスチックだから効率が良くて、他のコストを下げているかもしれない。というのは、製造コストまで考えるとって話だ。コストは何も金銭的な部分だけじゃなくて、電気エネルギーの総量を下げているかもしれないじゃない。それは脱炭素に繋がるとも言えるよね。

一気にゼロにすると無理があるだろうね。だけど、代替品をうまく取り入れて削減につなげることが出来たら、緩和することくらいは出来そうだな。という話になると、じゃあそっちに乗り換えようってことになるんだけど、問題はそうやって廃棄すること自体にあるんだと思うんだよね。
車だってそうだけど、新しいほうが燃費がいいからって言って、ドンドン乗り換えをしていくと目に見えるガソリンの消費は削減できるだろうけれど、新しい車を作るコスト量が上がっていくことにはなる。実は車というカテゴリにおいては、走らせるよりも生産するほうがCO2の排気量が多いっていうんだから。そしたら、なるべく長くメンテナンスしながら使い続けるほうがエコということにはならないのかな。

今日も読んでくれてありがとうございます。これさ。一個ずつ課題解決しながら、目の前の飲食店経営を成長させていくってなかなか至難の業なんじゃない?いや、まいったね。とりあえずは、カンタンに捨てずに使い倒すことを徹底するところからやっていくか。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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