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今日のエッセイ 「たべものラジオ」こぼれ話。ジャンルが溶ける。 2021年12月16日

「たべものラジオ」のこぼれ話です。
聞いてくださっているリスナーさんたちには、少し共感してもらえるだろうか。料理ジャンルの境界線がなんだかわからなくなってくる感覚があるんだよ。どこからどこまでが日本料理なんだろうってね。

こういうカテゴライズ自体が、あんまり意味がないのかもしれない。明らかに違うものだったら良いんだよ。ビールだったら、エールとラガーって酵母が違うわけだから。こういうジャンル分けはあったほうが便利。

便利。そうなんだな。日本料理とかフランス料理とか。分けておくと便利なんだね。

モノゴトを分けて考えると便利だよって概念があったよね。デカルトだっけ?誰が提唱したのか忘れちゃったけど。課題は分解して考える。ビジネスの中では当たり前だよね。これが普通のことだとしている会社もたくさんあるだろう。
一方で、分解して考えることにも疑問がある。Aという課題を、B、C、D、Eと分解して、それぞれに解消していったとするじゃない。じゃあ、Aも解消するかと言うとそうでもないことが多いのだ。相互作用があって、全体としてみるとB~Eで得た解が整合性が取れないということが起きる。

うまくいえないけれど、料理についても似たようなことが起きているなあって。思うんだよ。Aは日本料理か?という問いを立てたとして、B~Eで食材や調味料や調理法を並べたところで、Aを定義することが出来ないってね。

そうだな。トンカツを例にあげてみようか。名前は「ブタ」+「カツレツ」。日本語のブタとフランス語のコートレットが英語読みでカットレットになって、日本でカツレツと呼ばれるようになったものの造語だ。調理法はフレンチ由来。ブタという食材は、世界中に有るから無国籍だとして。とはいえ、日本で食用が一般化したのは明治以降だし。ソースという文化は外来のものだ。だけど、日本で使用しているウスターソースみたいなものは、日本独自。付け合せにキャベツやポテトがつくのも、フレンチによく見られるものだね。そもそも、油であげるという調理法も日本では比較的新しいものだ。下味に塩コショウ。胡椒も日本のものじゃない。ヨーロッパのものですら無い。けど、日本よりもヨーロッパで珍重されて用いられてきたスパイスだ。

分解してみたところ。それぞれが指し示しているのは「日本料理ではない」だ。全部ではないけれど、その傾向が強い。無国籍料理といっても過言ではない。
ところが、トンカツは「日本料理」として認識されているでしょ。

それで良いんだよ。もう日本料理ってことで、日本人も外国人もトンカツは日本料理と認識しているのであれば、それで良い。ルーツはさておき、そういうことにしちゃったら。
ふわっとした感覚で決めるしかやりようがないもの。
お隣韓国でソウルフードになっている「チャジャンミョン」は、中国北部山東省の「ジャージャー麺」が元だ。チャジャンミョンは韓国発祥で、盛岡じゃじゃ麺は韓国料理だと思いこんでいる人たちもいるくらいだし。日本のラーメンが、中国発祥だと思っていない人も世界中を見渡せばたくさんいる。

カテゴライズは分けて整理することに繋がるのだけれど、料理のジャンルでは意味が無いんだろうなあ。

今日も読んでくれてありがとうございます。世界は融合と独立の対立軸で言ったり来たりしている。だけれど、料理を含む「文化」は、国家の思惑とは無関係に、ゆるやかに融合するものなのかもしれないね。

Posted in エッセイみたいなもの

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