「たべものラジオ」のこぼれ話です。
直接は関係ないのだけどね。つくづく「教科書」って優秀だなと思うんだ。高校時代の教科書や資料集ってとてもよくまとまっている。
たべものラジオを始めてから、人生で最も世界史に詳しくなっている。もっと詳しい人はいっぱいいるけれど、ぼくの人生の中では今が一番詳しい。そうなってから改めて高校の世界史の教科書を開いてみると、メチャクチャすんなりと読めるんだよ。とてもわかり易い。
アレクサンドロスの表記が10行っていうのには笑ったけれど。それでも、あの複雑なメソポタミアからヘレニズムまでの流れをこの少ないページ数にまとめたもんだと思う。教科書では語られていない「余白」は、ホントは授業で埋めてくれると面白いのだけど、受験を目的にしているとそんなこともやってられないのかな。
予備知識というのか、基本的な知識量が上がると見え方が変わるんだろうね。解像度が上がっているイメージがあるんだよ。歴史にはあまり解釈を入れずに事実を学ぶのが良いと言われているけれど、初期段階ではそんなことを気にする必要がない。色んな人の解釈が入り混じった状態で、ストーリーを把握しておくと、あとで史実を知った時に解像度が高いから染み込みやすい。
煮物を焚く前に、下味を入れておくと味が深くまで染み込むようなものだ。
そうそう。古代ビールのところで、メソポタミア文明とシュメール人とアッシリアとバビロニアという、古代史にちょこっとだけ触れた。ビールをメイン素材にしているから、歴史の詳しい部分はほとんど話さなかったし、そんなに語れるほどは詳しくない。ここで、気がついたことが有るんだ。
アッシリア朝やらペルシア帝国やらいろんな国が登場して最終的にバビロンは滅びる。それこそ詳しく書いたらキリがないのだけど、とにかくバビロニア王国は滅びる。それにしても、いろんな国がバビロニア王国に攻め込むのだけど、なんでだろうなと。バビロニアを支配下に入れた国は、バビロニアの文化にメチャクチャ影響を受けて広がっていく。なんだろうな。国土が豊かだってことも有るけど、文化水準が高いところを取り込みたかったのかな。
歴史って、割と政治が中心だよね。というか、ほとんど政治の話。教科書を見ていてそういうふうに見える。だけど、政治じゃない部分もあるでしょ。文化とか芸術とか、言語とかいろいろさ。切り口を変えてみると、「国」という単位がどうにかなったところで、文化や芸術は普通に生き残っているんだよね。
物質部分は奪い合いで、いわゆる物質的な富が膨れたり消滅したりしてる。けれども、文化や芸術や思想は比較的残っていくよね。今でもギリシア哲学は伝えられているわけだし、釈迦や孔子の哲学も伝わっている。なんだか、国という単位がどういうものなのかがふわふわしていて掴みどころがないように見えてきちゃったよ。
今日も読んでくれてありがとうございます。たべものラジオは、そもそも食にフォーカスしているから通史で見ると長い。とにかく消えない限り食文化として繋がっていく。数千年の背景をもった食材や料理だってある。かなりの労力はかかるけれど、それに見合った「世界観の崩壊」を楽しめていると思うよ。