エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 史跡を面白がってもらうにはどうしたら良いのかな 2022年4月7日

「たべものラジオ」のリスナーさんは、もう薄々気が付いているかもしれない。実は、ちょっとだけ歴史好きだったりする。世界史や日本史も面白いと思う。学校で習う歴史の勉強はめちゃくちゃ苦手だったけどね。だいたい理系だったし。一番特異だった科目は化学と物理。理科が比較的得意科目だった。といっても、あくまでも学校の授業でやる内容と、そのテストはという話。

テストはね。テストを解くための技術とか勉強方法があるからさ。理系の方がやりやすいんだ。

歴史に興味を持ち始めたのはいつ頃だろうなあ。多分小学生の頃。徳川家康だとか、上杉謙信、武田信玄、今川義元、織田信長という有名人の本を読んだからだと思う。ほら、小学校の図書室に偉人の伝記本があるでしょう。学者や発明家や政治家の伝記よりも、武将の伝記の方が面白かった。それだけだ。

図書室の本を読破しようとしたら、全部読まなくちゃいけなくて。その過程で比較的面白く読めたのが戦国武将だったというはなし。

ちなみに、読書家でもなんでもない。ビックリマンチョコシールをコンプリートするとか、ポケモンをコンプリートするのと一緒。コンプリートしたかっただけだ。

コンプリートしようとしたら、結果として歴史に詳しくなる。読んだから。普通の小学生よりは少しだけね。それに気が付いたのは祖父母。祖母は歴史に明るかったから、いろんな話をしてくれた。その話はホントに面白かった。歴史の授業よりも、伝記本よりも、だ。

そのうちに、家族旅行はお城巡りになった。行き先は基本的にお城のあるところ。歴史の表舞台に出てくるところ。単純に面白かったし、またコンプリート心をくすぐるのだ。行ったことのなお城に行きたくなる。天守閣ってカッコイイからね。そういうものだ。

そんなだから、歴史の知識はかなり偏る。ほぼ戦国時代。好きというだけで、めちゃくちゃ勉強して詳しくなったというわけじゃない。という状態がかなり長いこと続く。大人になってもだ。おかげで幕末期の物語をちゃんと知るようになったのは、随分とあとになってからのこと。江戸時代の知識も暴れん坊将軍を軸にした程度のことだ。あとは、池波正太郎や司馬遼太郎などの小説の世界観。

歴史の話をつまらなくしてしまっているのは、一体何なのだ。と思う。今になって、歴史の面白さに気が付いて読んだり見たり聞いたりする人もたくさんいる。あんなに嫌いだったのに。だ。その気持よくわかる。学生時代に出会いたかった、という感覚。

そもそも、縄文時代から始めるからいけないんじゃないか。人の息吹が感じられないのがいけないんじゃないか。なんてことも妄想する。ぼくは小説から入っている。歴史上の人物は息遣いを感じるキャラクター。漫画の登場人物と同じ感覚だ。授業にはそれが抜けている。

同じことを、お城巡りをしていて感じる。案内の看板は至るところにある。築城した城主のこと。年代。お城のタイプ。そうじゃないんじゃないか。目の前にあるお城が舞台となった物語が面白いのだ。アニメや映画の聖地巡りというのがある。逆に聖地で物語を知ることも面白いのだ。

妻は歴史が苦手。人物名だって聞いたことがあるのは超有名人くらい。何をした人かも知らない。でもお城巡りは好き。だから、旅行に行くとぼくが横で講談みたいに喋る。ここを拠点にして隣国を狙ったのが○○。そしてそのライバルである△△と、こんなドラマが有った。その△△の居城が、この窓から見えるあの山にある。〇〇はここからどんな気持ちであの山を眺めたんだろう。などと、セリフ付きでふざけて話す。名前すら言わなかったりするけど。

気がつくと、ぼくの後ろに数グループの人がぞろぞろついて来ていたこともあった。

大切なのは、語り方でや切り口。詳しいかどうかは関係ないんだよなあ。ある程度知っている人が、資料館や立て看板を読めば喋れるんだから。歴史から何をピックアップして、何を受け取るのか。それも面白がりながら。そういう切り口がポイントになるんだろうと、ぼくは思っているよ。

今日も読んでくれてありがとうございます。今でも歴史弱者のまま。食べもの周辺のルーツや歴史や文化や社会を勉強しているだけだ。勉強したことを喋る。そういうのが「たべものラジオ」。史跡もなんとかならんもんかと思う。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

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