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今日のエッセイ 独裁と合議制について考えてみた。 2022年4月13日

2022年4月13日

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」見てる?ぼくは全然見てないんだけどさ。いや、見たいと思ってはいるんだよ。ただ、その時間の捻出が大変すぎてね。半ば諦めている。録画しても、見られない可能性高いもんなあ。

鎌倉幕府の権力構造って、とても面白い。なんだか示唆深い気がするんだ。政治体制が、行ったり来たりする。独裁と合議。独裁って言っちゃうと正確ではないけれど、ニュアンス的にそれっぽい感じ。

源頼朝が生きている時代は、そりゃもう頼朝様の一強体制。頼朝がこうだといったらそうなる感じ。その後は、13人の有力御家人が相談しあって政治を進めていくスタイルになる。独裁→合議制。

合議制になると、この中で権力争いが発生するんだよ。有力御家人といっても、13人もいたら力関係はグラデーションだから。その中で、北条家が一歩抜け出るんだよね。もともとは弱い方だったんだけど、なんせ頼朝の奥さんが北条家だから。そこを足がかりに、ガチの戦争をして勝ち残っていく。結果として、執権北条氏がバリバリの権力者になっていくわけだ。表向きは合議制だけど、北条の独裁体制の成立ね。

独裁体制が出来ると、今度は反発が生まれる。とても優秀な人が牽引しているときは良いの。独裁体制って、実は良い面もあるから。とにかく判断が早い。戦争が起きたり、飢饉が起きたりした時には、ひとりの超優秀なトップが指揮をとれば早い。政治が安定するってこともある。実際に、北条氏の中から超優秀な執権も登場しているしね。北条泰時とか。

しばらくすると、権力に反発するものが出てくる。独裁体制っていうのは、支配と被支配に二分されるから、支配されている側に不満が貯まると、支配者を排除しようとする。シンプルに、こいつが悪いってことになるんだよね。合議制だと発生しないんだけど。ちなみに、引き金は蒙古襲来ね。頑張って戦ってモンゴル軍を追い返すんだけど、恩賞をもらえない。そりゃそうだ。守るだけの戦いだから、なんにもゲットしてない。この時代の恩賞って土地だからね。めちゃくちゃ強いモンゴル軍を追い返したのに、まったく報酬がない。という不満が貯まる。

でね。ちょうど後醍醐天皇が、幕府から朝廷に権力を取り戻そうって動き出して。それに乗っかる人が出てくるわけだ。というところで足利尊氏が登場。

日本史の解説をしてしまった。

組織体制の話をするんだった。

独裁→合議制→独裁→合議制→独裁制→ドカンみたいな感じでずっと行ったり来たりしてるんだよ。どっちが良いか、いろいろと修正しながらの150年。一長一短なんだろうね。

民主主義の社会に生きていると、独裁制ってなんだか違和感があるじゃない。それこそ、絶対王政みたいなイメージ。だから、合議制の進化系としての民主主義があるんだろうけどね。一方で、合議制は権力争いに対するブレーキが効きにくいかもしれない。もちろん、権力争いはどっちのタイプでも起きるんだけど、独裁制の場合は独裁者が優秀で強ければ、権力争いを制御することが比較的容易なんだと思う。もうお前らやめろって。ガバナンスをきかせやすいのかもね。

現代の会社組織にそのまま置き換えることは乱暴か。でも、それっぽいことってあるよね。超強力なワンマン社長がいて、そのおかげで会社が急成長するってこともある。ただ、次の代になるとそれが効かなくなる。引きずり降ろされなくても、世代交代した瞬間に独裁制が崩壊するリスクが有るもんね。そうやって衰退した企業だってある。

料理屋なんて、中小企業の中でも小企業なわけだ。伝統的にさ。板前や仲居がいて、親方や女将が牽引するスタイル。比較的独裁タイプに見える。そうなりがちというか。

なのだけれど、長く続くところはそうでもないのだ。親方は柱ではあるのだけれど、決済しないということもある。方針だけ決めて意見を集める。全員が完全に納得はしていないけれど、妥協した納得はする。そんな状態で前に進むのだ。面白いよね。現代社会で、今求められているスタイルが古風な世界にあったなんてさ。

今日も読んでくれてありがとうございます。料理の献立を考えるのも、こんなふうにやっていきたいんだ。ぼくは会社全体としての方針を打ち出すことと、あとは司会者をやること。そのくらいにして、料理はみんなで持ち寄って完成させていく。そんなことをやっている料理屋は無いみたいだ。難しいんだろうか。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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