エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 深く潜ったら地下でつながっていた話。 2022年4月18日

所用で遠方まで出かけた時があって。去年だったかな。まだ、たべものRadioも10本くらいしかアップしていなかった頃だ。行くときは新幹線だったんだけど、帰り道は同じ方向へ帰る人の車に便乗させてもらったんだ。そのうちの一人は初対面。

この初対面の彼が面白くてさ。ほとんどの人とすぐに打ち解けちゃうんだ。相手が人見知りかどうかなんて関係ないの。絶妙な間合いで、もとから知っている知人のような感覚になっちゃうの。「ぼく人見知りなんです。」「嘘つけ!」って、ツッコまれる。初対面なのにね。

その彼と、車の中でずーっと話をしていたんだ。かれこれ2時間くらいかな。もしかしたらもっとかもしれない。ぼくらがずっと喋っているもんだから、運転席と助手席の二人は途中からずっと黙って聞いてるだけ。うるさかっただろうなあ。

彼の面白いところがいくつかあって、まったく初めて知ることでも興味を持つんだよ。けっこうなんでも面白がれる。それも、そこそこ深く潜った世界観にふれるのが好きっぽいんだ。このあたりはぼくと似ているかもしれない。

でね。最初は会議の内容について話をしていたはずなんだけれど、ついメタファーとして食べもののことや歴史を引用しちゃったんだ。そしたら、そっちに食いついちゃって。と、こうなるとぼくの講義みたいになっちゃうことが多いから、いつもなら途中で辞めるんだけどさ。これが2時間続くのよ。

なぜ続いたのか。それはね。彼も、まったく違うジャンルで深く潜っている専門性を持っているからなんだ。現在はスポーツ用品店を経営しているんだけど、何年か前まではガチでサッカーをやってたんだって。それも、プロからスカウトが来るレベルで。実際に彼の後輩は日本代表選手だったりするし。

テクニックだけじゃなくて、組織だったり戦術だったり、コーチングや体作りや、もう多角的に深いところまでサッカーを探究してきた。だからこそ、見えてくる景色があるんだと思う。

この彼の知識と経験が、そのままたべものRadioの内容とリンクする時がある。もうこれが、ホントに面白い。ぼくらが所属している組織のことや、会議のこと、企画している事業のことを軸に話をしているんだけど、そこにたべものの歴史や変遷、さらにスポーツ理論が組み合わさって。と言うと、カオスみたいなんだけど、実はひとつのストーリーに収束していくんだ。

深いところまでぐーっと潜り込んでみると、まったく違う世界と地下トンネルで繋がっている。そんな感覚かな。抽象化した時に、共通の概念で束ねられるようなこともたくさんある。

ぼくらの世界って、意外とそんなものなのかもしれないね。一見すると、まったく違うジャンルのことだとしてもさ。それぞれのジャンルで生まれる「問いかけ」は、まったく違ったものだろうけど、答えは同じものだったりして。

だから、歴史の話をまったく知らなくても、彼の場合はスポーツの観点から繋いで答えを出しちゃうんだ。

一度ゲストでたべものRadioにも出演してくれたタケさんはデザイナー。ぼくは料理人。一見まったく違うことをしている職業だけれど、根っこのところで大切にしているものが同じだったりして。そういうのが面白いなと思うんだ。

こういう部分が、人類にとって普遍性の高いものなのだろうか。よくわからないで書いているんだけど、そんな気もしないでもない。

今日も読んでくれてありがとうございます。苦手なジャンルの課題を克服するには、得意なジャンルをしつこくひたすらに深く掘り下げていくと良いのかもって思った。遠回りかもしれないけれど、勘所をしっかり掴めるようなきがする。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

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