現代社会では「接待」というものが、あまり印象の良くない文脈で語られることが多いような気がします。だけど、長い年月の中で「良い」と思われてきたからこそ続いている部分もあるはずなんだよね。だから、そもそも、「接待」ってなんだろう。何のためにあるんだろう。ということを僕なりに書き出してみようと思います。
悪いイメージ持っている人の場合、「取引先を持ち上げていい気分になってもらい、都合よく仕事に配慮してもらえるようにする」みたいな感じで捉えられているのかなあ。どうなんだろうね。賄賂みたいな感覚で捉えられているのかもしれない。
でも本来の「接待」はそういうもんじゃないと思うんだ。「接待」で重視されているポイントは「円滑な人間関係の構築」なんだよ。ここに尽きるでしょう。全てのこと、料理や店選びも、いろんな準備も、当日の振る舞いも、みんなこの目的のためにやることなんだよね。そこがズレてしまうと「接待」が違うもののように見えてしまいます。ということなんじゃないかな。
仕事内容の他に人間関係なんて意味があるの?
そういう感覚の方ももちろんいると思いますよ。ビジネスライクに割り切って「業務内容だけきちんと進められれば良いじゃん」という感覚です。だけど、パートナーのいる事業は「この人なら信用できる」と思っていないとなんにも進まないでしょう。これはビジネスに限った話ではないでしょうけどね。どんなに仕組みが充実して整備されていても、最後はやっぱり人間同士の信頼性で事業の成否が決まると言われています。思いや情熱だったり、決意みたいなものです。だから、それを見定めたり、お互いにすり合わせたりして強固な関係を築くことが「接待」に求められる一番の目的なんじゃないかな。
だってね。仕事してると、どうしても厳しいことも言わなきゃならないことがあるじゃないですか。お互いに信頼し合っている間柄であれば、ちゃんと言える。言われた方だって「この人は個人攻撃してるわけでも、自分だけが利する為に言っているわけじゃない」と思えばこそ、建設的に進めることができる。そういうことですよ。僕はそんなふうに「接待」というものを捉えています。
ちなみに、接待じゃなくても「人間性」の部分は経済社会でもかなり重視されているんですよ。例えば、銀行融資なんかも影響している。銀行が融資先を判断する時は、基本的な2つの指標を用いています。一つは「定量情報」といって、財務諸表などの「数字などの量で測れるもの」の情報です。これはわかりやすいですよね。もう一つは「定性情報」といって「数字で測れない企業の価値」を見るんです。事務所は整然としているか、社員の応対はどうか、社長はどんな思考方法をとる人なのか、責任感の強い人柄なのか、といった内容も含まれるんですね。つまりは「信頼に足る人物(企業)であるか」ということ。
「接待」をすること自体の良し悪しを論じたり、手法を語ったりする前に、ちゃんと目的を見ると意味があるから続いてきたことなんだと言うことがわかりますね。もう少し掘り下げるので明日も接待について書くつもりです。