エッセイみたいなもの

今日のエッセイ いつでもお茶をのんでいた 2021年4月18日

朝は、まずお茶を飲むというのがむとう家の習わしです。
これは、うちだけじゃないと思うんだけどなあ。確かに起き抜けにはだいたい水を飲んだりしている。ただ、朝食を食べる前にはまず温かいお茶をいっぱいいただくし、お店に出勤するとまずは温かいお茶をいっぱいいただく。これはもう、習慣だからね。朝のお茶が無いとなんとも落ち着かないのだ。

県外で暮らし始めた頃、周りの人たちが朝コーヒーでびっくりしたの。コーヒーを常用していて、くつろぎタイムみたいな時間をとってお茶を飲むんだって。そうなの?そっちが多数派なの?うちは全く逆だからさ。
「朝専用。モーニング『お茶』」だし、「ホッとする時。『お茶』タイム」だし。
もちろん、食事中に飲むのは『お茶』というのは、当たり前。卓上には常に急須があるのが普通の家庭だと思っていたんだよね。
これが、土地柄なのか時代の変化なのかがよくわからないんだけどね。

でもまあ、これだけペットボトルのお茶が売れているということは、時代の変化なのかもしれないですよね。もともと当たり前にお茶を飲んでいたのだけれど、それが急須からペットボトルに移行していったと。そういうことだと思います。だって、スゴイもんね。CMだってバンバン流れているし、コンビニのドリンクコーナーではお茶が一番量が多いし、そんなにお茶離れしてないんだよ。

お茶の出荷量とか出荷額が年々低下しているから、確かに昔よりは消費量が下がっているのは下がっている。ただ、それって何割かがコーヒーや紅茶や烏龍茶に置き換わっていったということで、多数派が緑茶であるということは変わっていないんじゃないだろうか。少なくとも意識的な部分ではね。お茶専門のドリンクスタンドを出店したら、すぐに人気になるのがいい例だと思う。
かえって、今まで安売りしすぎてたんじゃないかな。高速道路のサービスエリアで無料の緑茶サーバーなんか置いているのが、良かれと思ってサービスで置いたんだけど、結果として「お茶は価値が低い」ということを刷り込んできていたのかもしれないよ。

お茶が嗜好飲料を独占できていた時代は、外来品が「超」高級品だったころ。だから、日常ではお茶だった。現代になると外来品もお茶も同じくらいの価格になったのだから、一定のシェアがお茶以外の飲料に流れるのは当然のことだ。
こういうふうに考えると、今後のお茶産業の未来をどう考えていくかが変わってくる。
「昔のようにお茶で独占というのは難しい」ということを前提に、今後どうやって「価値の向上」を狙っていくのかということが主眼になるんだと思う。

じっくりと味わうワインがあるのと同時に、デイリーワインというジャンルが存在する。お茶がそんな世界観を構築していくと、割と安定した産業になっていくのかな。
掛茶料理むとうも、一緒に考えていろんな挑戦をしていきますよ。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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