エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 今日は何の日? 2021年10月1日

2021年10月1日

気の抜けた話で、暦について書いてみようかと思っております。他にネタは無いのかよ。いや、あるんだけどね、10月1日だということからこじつけて色々と実験的に書いてみようかと。

今日は、新米を使ったお酒の仕込みが始まる頃だよねってことで日本酒の日だ。若者の日本酒離れを食い止めるために、1978年に日本酒造組合中央会が制定したんだって。まあ、あまり知られていないので残念ながら日本酒の普及には貢献していないような気もするけれど。ぼくらの業界も他人事ではないので、一緒に頑張りましょう。

ところで、十二支の10番目は「酉(とり)」だ。この字は元々「ゆう」と読む。鳥とは全く関係がなくて、酒壺を象形文字で表したものだ。酒壺。そもそも、お酒の入れ物なんだよね。だから10月を日本酒の日にしたっていうのは、なんだか気の利いたことをするなあ。
この酒壺という原型から意味が発展して、「成熟」や「実る」を含有するようになった。いい感じだよねえ。実りの秋にも通じるところだ。

「氵」+「酉」=酒はわかりやすいね。「酉」を部首にした漢字は他にもある。「酔う」とか「酩酊」「お酌」はお酒そのものにまつわる人間の行為。配るという字なんかは、どうだろう。ちょっと調べてみよう。
酒壺の横に人がいる状態というのが元々の象形文字みたいだ。酒を配るところから始まったのかな。これもお酒に関する行為なのか。

酢とか酵母は、酒壺を使って作れるものを指しているのかな。そうなると醤油もそうだね。醤は単体で「ひしお」。古代からある調味料で、味噌や醤油の原型だもんね。酒壺を使って熟成させたものは、一通り「酉」が漢字に用いられることになっているのかな。酉をへんにした漢字はたくさんあるらしいのだけど、知らないものも多くて理解するには勉強が必要だなあ。

ともあれ、酉の刻が現代の時刻で言うところの17時~19時頃を指しているのが興味深い。単なる偶然だとは思うけれど、仕事が終わってお酒を飲もうかなってタイミング。偶然だとしても面白みがあるよね。

そもそも、十二支で用いられる漢字は動物とは関係ないということだ。ということを、ぼくは今日知った。恥ずかしながらと謙遜するところだけれど、たぶん大勢の人が知らないままだろうと思うんだけど。どうだろう。なんとなく「そういうもんだ」と受け入れてしまっている。昔はこんな表記をしたんだろうなあ、なんていう勝手な想像で済ませたりさ。

子は種の状態で、それが芽吹いて実る。そして、また種になって次に備える。そんな植物になぞらえたのが十二支なんだってね。それを覚えにくいもんだから、動物を当て込んだだけで関連はないんだとか。だいぶ昔から語呂合わせみたいな覚え方があったってことか。面白い。

今日も読んでくれてありがとうございます。他愛もない話になっちゃったけど、ふたつ勉強になったよ。十二支は動物と関係ないこと。そして、人の運気を植物の成長過程になぞらえているということ。人間は古代から自然の中で生かされている感覚を備えていたのだろうね。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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