何かと何かの似ているところを見つけられると、例え話のバリエーションが増えるし、思考が展開しやすい。それに、全く違うジャンルの話を聞いてもちゃんと学びになる。
平たく言うと、置き換えることができるかどうかってことだね。つまり置換。
置換は感性じゃなくて、実は技術なんじゃないかと思う。
なんでも置き換えて考えるのが好きで、ついついやってしまうんだ。ぼくの場合はスキルというよりも、おもしろいからやっちゃうというだけなんだけどね。でも、結果としていい練習になっているんだろう。
苦手な人もいるらしくて、どんな練習をしたら良いか質問をされたので整理してみようと思ってさ。そういうことが得意なわけでもないし、飛び抜けて上手というわけでもないのだけれど、論理的に考えるとこうなるんじゃないかって話ね。
よくやるのは、代入。ほら、数学の公式に実際の数字を当てはめていくあれ。
何でも良いから、「○○にとっての」△△をいっぱい考えるの。△△を固定しておいてね。そうすると、△△の見え方がたくさん想像できるでしょ。でね。並べてみた状態で「△△ってなんだろう」という本質を問いただそうとしてみる。
これが面白くてさ。「こういうもんだ」って思っていたはずなのに、当てはまらない事例がいろいろあるから。一体何なんだろうってなっちゃうのよ。
そして、次のステップ。
△△とはなにか、を無理やり定義してみると、たいては抽象度の高い言葉になるんだ。ひとつに絞らなくても良い。こんな特徴があるよね。ほかにもこんな特徴がある世ね。なんて具合。
今度は、見つけた特徴から連想するものをいっぱい想像していくんだ。何個も何個もやっていくと、複数の特徴が共通している別のものを発見することができる。
こうしてメタファーを手に入れているんだろうと思う。
改めて書き出してみたけれど、サピエンスは無意識にやっているから、こんな細かいことは考えてないだろう。直感だよね。あくまでもトレーニングのひとつとして。
そもそも、抽象的なモノゴトを理解するときって、抽象的なまま理解するのは難しいんだよね。例えば「時間」を、なんの例えもなく理解できるかな。時は流れるって言うと、川を想像する。積み重なるって言うと、地層のように土が重なっていくイメージ。刻むとなれば、時計の針を思い浮かべるかもしれない。
こういう言葉による表現を、小さい頃からいろんな場面で聞いているわけだ。その積み重ねで、なんとなく時間ってこういうイメージだよなあ、ということを把握していくんじゃないだろうか。
概念だとか思想だとか、そういう抽象的なものだけじゃないんだよね。
見たことも聞いたこともない物体をはじめて紹介された時。仮にそれを目の前に置かれていたとしても、人間は理解が出来ない。プレゼンテーションでパワーポイントを使って一生懸命説明しても、全然伝わらないのはそのせいだ。
だから。
だから、聞き手がすでに知っているモノゴトに「置き換えて」伝えることが大切になる。
スーッと水が染み込むように入ってくるでしょ。
これもメタファーね。
今日も読んでくれてありがとうございます。置き換えが癖になると、話がどんどん横に展開していく。いわゆる脱線が増えるよ。これも、似た事例を見つけていつのまにかそっちの話をし始めちゃうってことだからさ。話が脱線する人は、抽象化が得意なのかもね。