エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 補助金と新規事業について 2022年3月10日

2022年3月10日

昨年来、色々と規格をしている。その中の一つで、冷凍食品の販売がある。スーパーマーケットなどで販売されているもので言えば、電子レンジで解凍すればOKというものではなくて、冷凍餃子のようなものだ。あとは焼くだけ、揚げるだけといったもの。業界的には半加工食品と言うらしい。

これが、なかなか進捗が思わしくない。想像していた以上に準備に時間がかかるのだ。機材についてはおおよそ揃ったのだけれどね。レシピの開発、実験、許可などなど。やることがいっぱいある。

その中でも、最も手間がかかるのが補助金関連。めまいがする思いだ。

国や県の施策として、新規事業の立ち上げのための補助金が存在する。今回の事業は補助金を利用した。結論から言うと、補助金なしで立ち上げればよかったとすら思うときもある。

とにかく、書類が煩雑なのだ。とはいえ、補助金を仮に融資だと思えば。語弊があるけれど、収入の一部だと思えば、労働の対価としては効率が良いとも言える。なにが面倒かと言うと、一般的な金融機関からの融資に比べて、規定が細かいところかな。あらゆる業種に幅広く対応するために、しかも一種類でカバーしようとするがために、煩雑になる。

例えば、当店は飲食店であるのに対して、フォーマットが工業系に合わせられている部分がある。かといって、工業の人達に聞くと同じようなことを感じるらしい。つまり、「一つの形式であらゆる業種に対応しようとした」ら、「ほぼすべての業種にとって不満の残る形式になった」ということだ。

こういうことは、よくあることなんだろうなあ。全部をカバーしようとしすぎないこと。そういうバランス感覚がとても大事なんだろう。

アドバイザーの方がおっしゃっていたことで、とても興味深いことがあった。かつて、補助金の受給者で、抜け穴をつかってずるいことをした人がいたそうだ。そのことをきっかけに、押印稟議が複雑になったと。一部の悪さをする人のために、そうでない大部分の人に負荷をかけるのはいかがなものかと。たしかになあ。

この線引は、なかなか難しいのだろう。特に公的機関においては顕著に。極端かもしれないけれど、予防策のための仕組みを作り込むよりも、罰則をしっかり規定したほうがうまく回ることもあるということだ。ケースバイケース。ちなみに、その方がおっしゃるには、罰則規定が無いのだそうだ。

ぼくがいけないのだけれど、もう少しよく考えてから取り掛かっても良かったかな。補助金を使用して、なおかつ設備投資をしてしまうと「やめる」という選択肢を極端に成約される。特に、新型コロナウィルスの蔓延によって状況が刻一刻と変化する中では、よほどの覚悟が必要だ。何があってアクセルを踏み抜くくらい走り「続ける」覚悟。状況が変わったところで、関係ない。それでもやる。そういう覚悟。

これは、経営者として必要な資質の一つではある。けれども、方向転換に敏感であることも必要なことだ。その点において、補助金は縛りが厳しい。数年間の実施報告が求められる。事業を撤退すると、補助金の引き上げもありうる。これは、余程のことである。

社会にとって有用な事業だと思っているから、継続して運営するということはぶれない。だけれども、ほんのちょっと、変えることも許されないのは経営者としては苦しいよなあ。計画書に書いた商品の「案」。これからマーケティング調査する旨も記載したのだけれど、その修正でもかなりの説明が必要になる。説明するのは構わないのだけれど、書類が多いのだ。

もう、愚痴でしか無いのだけれどね。

導入を考えている方は、一度あらゆる角度からチェックすることをオススメしたい。

今日も読んでくれてありがとうございます。さて、やるか。困るんだよなあ。商品化の合否判定の基準で「官能審査」が出来ないとなると、ね。これも提出しなくちゃいけないんだけど、料理の良し悪しは料理人の舌で決まるのだ。それ以外の基準で書類を作るなんて、と悩ましい限りだ。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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