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今日のエッセイ 観光政策って行政単位じゃなくて良いんじゃない? 2021年12月17日

2021年12月17日

観光政策について、久しぶりに書き出してみる。政策なんて言うと大仰な気もするけれど、まあざっくりとね。

市区町村単位で、行政が活動していて、その上位概念に広域連携だったり県があって、それを国政がまとめる。そんな階層構造があるよね。このシステム自体に、少し無理があるんじゃないかと感じているって話だ。

例えば、ぼくがドイツに旅行に行くとする。唐突にドイツって言ったけれど、ちょうど「たべものラジオ」でビールのシリーズを配信しているからだね。それでドイツに行ってみたいと思っているだけで、深い意味はない。

ミュンヘン。ビールと言えばやっぱりここだよ。出来ればオクトーバーフェストが開催される9月下旬~10月上旬に合わせて訪問したいよね。せっかくドイツに行ったのなら、ケルンに行ってケルン大聖堂も見たいし、アインベックで元祖ボックビールも飲んでみたい。そこまで行ったのなら、アーヘンも良いね。フランク王国時代の首都だし、アーヘン大聖堂もあるじゃん。そうそう、ビールつながりで言ったら、ピルゼンでピルスナービールも良いよね。ブドワイザーも。

ある程度ドイツの地図を思い描きながら地名を書き出したよ。土地勘がある人がみたら、メチャクチャなことを言っているの。ミュンヘンは南部で、もうフランスに近いところね。ケルンは北部でもう少し北に行ったらバルト海だ。ピルゼンなんてドイツじゃない。チェコだもん。神聖ローマ皇帝の時代から一緒になったり、別の国だとしても縁戚だったりするんだけど、別の国。

これを日本に置き換えると、とんでもない移動距離になる。
お茶と言えば、やっぱり静岡に行くか。富士山もあるしさ。そうだ。宇治がやっぱり有名だよね。抹茶と言えば宇治だもん。宇治まで行ったのなら、せっかくだから平等院を訪れたいし、金閣寺や銀閣寺も行きたいよね。八女のお茶も有名だから、せっかくなら行きたいし、そこまで行ったのならついでに鹿児島で知覧茶も良いよね。そう言えば碁石茶とかブクブクも飲んでみたい。そうそう、お茶つながりで言ったら、台湾の烏龍茶も良いよね。
とまあ、日本人からしたらメチャクチャだ。

だけど、遠い国から訪れる観光客の感覚は、実はこんなもんだ。もっと遠い距離を移動してきているから、距離感覚がちょっと麻痺してる。

国内旅行なら、こんなにも広範囲ということは無いだろうけれど「○○市の中で観光」ということは無いだろう。行動範囲が広いわけだ。
その広い行動範囲は「旅行者個人の興味」でカテゴライズされたコンテツがある場所を軸に規定される。個人のフィルターがかかっているのだ。

目線をこっちに切り替えて、ある程度の広域で観光誘致をしたほうが良いんじゃないかと思うんだよね。歴史が好きな人、アクティビティが好きな人、文化に触れたい人、人にふれあいたい人、食に興味がある人。いろいろじゃん。

今日も読んでくれてありがとうございます。厳密に分解すると、かえってややこしくなるからね。感覚で良いんだと思うんだけどね。とにかく、行政単位で線を引くのは消費者目線じゃないと思うんだけど、どう思う?

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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