エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 調味料の役割ってなんだろう 2021年5月4日

2021年5月4日

料理をするうえで、味付けという作業は欠かせません。調味料を使わない料理もあることはあるんだけど、やっぱり味付けをする方が多いよね。

そもそも、調味料を使って味付けする目的はなんだろう。そりゃもちろん、美味しく食べるためだよね。じゃなくて、もうちょっと分解して考えるとどうなるかということね。「食材に新しい味を付け加える」「食材の持ち味を引き立てる」「食材と合わせて別の味を作る」かな。3つだね。
この3つを意識して調味料を使うと、手順を丸暗記しなくても効果的な調理が出来るようになるんだ。

どんな調味料が手元にありますか?
掛茶料理むとうで普段使用している調味料を書き出しみる。実はこんなことやったことないんだけど。
塩が7種類、濃い口醤油、薄口醤油、みりん、酒、白糖、ザラメ、グラニュー糖、米酢、黒酢、白味噌、赤味噌、田舎味噌、というのが基本の調味料。それから油が胡麻油、サラダ油、白絞油、太白胡麻油、オリーブオイルでしょ。香辛料とかはカウントしないでおくか。
これが多いのか少ないのかわからない。けど、少なくとも一般家庭にこんなに用意していないよね。

「そんなにたくさん塩があるの?」
ということを言われるんだけど。最初に3つに分解した「調味料の目的」で使い分けるということもあるから、結果として増えちゃったんだよね。
一番わかり易いところだと「食材に新しい味を付け加える」、つまり味付け。これはシンプルに食材や料理に合わせて一番相性の良い塩を選んで使うのね。あとアク抜きをしたり、魚から余分な水分を抜く作業は「食材の持ち味を引き立てる」ということで、それに見合った塩を使うということもある。別の味を作るというのは、ぱっと思いつかないから割愛するけど。こんなふうにいろんな目的に合わせていったら、7種類になっちゃったという感じ。

大雑把に言って「しょっぱい」味付けをする調味料といったら、いろいろあるよね。塩、醤油、味噌なんてのは一番わかりやすい。それぞれを直接口に入れれば「しょっぱい」という表現になるはずなんだけど、全部味が違うでしょ。それはね、どういう旨味を持っているか、どういう香りを持っているか、しょっぱい以外の味を持っているか、で使い所が違うのよ。
醤油も味噌もしっかりとした「旨味」を持っているから、半分くらいは旨味調味料として使っているかもしれないなあ。感覚としてね。一味足りないから醤油の旨味を足そう、みたいな感じ。だって、醤油の塩分相当量ってそんなに無い。だいたい16%。塩が100%近いから全然違うでしょ。旨味しっかりあると、塩分がすくなくても「しょっぱさ」が強く感じられるから、少なくても美味しいんだよ。

調味料の役割って、味を付け足すだけじゃないんだよって話です。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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