健康のために毎日の食事を考える。基本的に日々の食事が主になるよね。毎日会席料理を食べる人なんかはいないだろうから。
食生活のことを考えると、まず考えなくちゃいけないのは「バランス」だ。これは、今更言うまでもなくいろんなメディアで以前から言われていることだ。なんだけど「バランス」が、実はイマイチよくわからないんだ。ざっくりしすぎててね。何と何のバランスのことを言っているのか。どんなバランスが良いのか。
「バランス」を可視化しようとすると、シーソーやヤジロベーみたいな1対1のバランスをイメージする事が多いのかな。このイメージがややこしさを助長している気がするんだ。ポイントとなるのは「1対1じゃない」こと、それから「濃度」もバランスに含まれるということ。
「1対1じゃない」はなんとなく分かるかなー。基本栄養素が「タンパク質」「脂質」「糖質」の3つなのだから、まずここから1対1じゃないもんね。それに、ミネラルやビタミンなども含めて総合的にバランスを取るのはなかなか難しい。アレルギー反応も含めて考えれば、さらに複雑になる。
どうするのが良いんだろうね。完璧な計算をすれば良いのかもしれないけれど、そもそも完璧な計算なんか出来るのだろうか。生命は機械じゃないわけから、不確定要素が多いじゃない。
なんの根拠もないけれど、「動物的本能で自然とバランスが取れるはずだ」ということを言う人もいる。これも、もしかしたら真理の一つかもしれないなあ。体の声を聞く。というと、少々宗教じみて聞こえるかもしれない。けれど、動物としてのヒトはこれが出来ていたのかもしれない。必要な栄養素を「食べたい」とか「美味しい」と感じるように出来ている。なんの根拠もないけれど、妙に説得力ある気もする。
現代人が相当鈍っているんだろう。人類の基本構造は、数十万年前に確立されていて、そこからほとんど変わっていない。生命としての進化はしていないのだ。技術や文化は進歩している。けれど、動物としての進化はしていない。
つまり、現代の食生活とホモ・サピエンスにプログラムされている食生活がマッチしていないのかもしれない。そうおいう妄想も成立しそうに思えるから面白い。
統計もロジックも知らなくても、これに真実の匂いを感じてしまうのだ。それは、多分に実体験が影響している。だって、やたらと甘いものを食べたいと思った時には、「疲れているんだなぁ」と思ったりするじゃない。苦味とか酸味に対しても、同じことがある。
前述の文脈から行くと、現代人はその能力が劣化しているのじゃないかということになる。どうなんだろうね。生物としての変化じゃないだろうけれどさ。慣れ、順応みたいな能力を発揮していて、それが「食のオートバランサー」の機能を鈍らせているということも言えるかもしれない。
脂味。この単語を聞いたことがあるだろうか。人間の舌には、味蕾という味を感じるための細胞がある。甘味、塩味、苦味、酸味が基本だと言われていた。最近になって、これら以外の味覚を感じる味蕾があるということがわかってきたそうだ。
興味深いのは、味覚の感知能力の研究だ。当然だけれど、個人差があるよね。じゃあ、なんで個人差があるのかということになるのだけれど、どうやら生活習慣による影響もかなり大きいらしい。普段から、脂質の多いものばかりを食べていると、鈍くなるんだって。油っぽいものを食べても、どんどん平気になっていって、ブレーキが効かなくなる。
これは、脂質だけじゃなくて糖質にも当てはまることもわかってきた。甘いものを常用しすぎていると、甘さに関する感知能力が低くなっていくそうだ。動物として生命維持をするためには、脂質とか糖質は必要な栄養だからね。そもそも、エネルギーそのものなわけだから。本来は害のあるものじゃない。同じものばかりが体に投入されてくると、体は「これを摂取しなくちゃいけないんだ」という判断をして、取り込むことを容易にするために「順応」する。進化じゃなくて順応ね。
バランスじゃなくて、濃度の話になっちゃった。とにかく、人体はこんな時代を予測していなかったんだろうね。まさか、こんなに食べものが潤沢な時代が来るなんてさ。結果として、バランサー機能がうまく働かないってことになっちゃうんだ。
そうなると、理性でコントロールしなくちゃいけないってことになるわけだよね。
理性でコントロールするとしてさ。「理性で食事内容をコントロール」なのか「理性でバランサーを整える」なのか、ここがまた微妙な所だよ。個人的にはどっちも大切なんじゃないかと思うんだ。どうも前者に偏りがち。数値ですべてのバランスを取ろうとしがち。そこもアンバランスだよね。
今日も読んでくれてありがとうございます。絵画や音楽や彫刻。そういったアートの世界にも、もちろん理論構築はあるし、その上での美もある。だけど、それ一辺倒じゃ面白くないんじゃないかな。感性を磨くってことも必要なんじゃない?