地元の先輩が「三年番茶」というお茶を作っています。静岡県に住んでいると、いわゆる「緑茶」が圧倒的に多くて目にする機会が少ないのだけれども。これもまた、お茶の木から作られるお茶。
一般的なお茶といえば、葉や茎を使って作られるのだけれど、三年番茶は枝ごと使って作られます。味は、ほうじ茶に近くて、ほうじ茶よりもずっと渋みが少ない。飲めばなんとも優しい味だ。じんわりと体があたたまる感じもする。カフェインレスだから、妊婦や乳児でも安心して飲めるのが良いね。
薬膳のような香りがするから、もしかしたら苦手な人もいるかもしれないけれど、僕は好きだな。
これなら、料理にも使えるかもしれないと思って「三年番茶」を出汁にして餡を作ってみました。鰹節を加えなくても単体の出汁で成立するのは、お茶ということを考えると秀逸かも。旨味がしっかりしていて渋みが少ないということ以外にも、香りが良いというところが要因かな。胡麻豆腐の餡として使ってみたら、これが割と好評です。
茶畑は伸び放題の状態で、まるで耕作放棄地のよう。三年以上ほったらかしにした茶木じゃないとダメなんだそうだ。それを冬に枝ごと刈り取る。カフェインというのは冬の間に根っこに移動するから、枝や葉には無いのだそうですよ。だから体があたたまるのか。と妙に納得。
この「三年番茶」は奈良県で生まれた製法なのだけれど、ここ掛川でも作られるようになりました。いま飲んでいるのは掛川産。件の先輩が作ったものだ。
「ここ数年、地元でも耕作放棄地が増えて茶畑がどんどん荒れていっているのが寂しくてね。そんなことを思っているときに、偶然このお茶に出会ったんだ。なんだか見捨てられているアウトローが再生していくみたいでさ。ちょっと自分と重ねちゃったんだよね。」
カッコいいじゃない。
茶畑がどんどん荒れていっている。それは、後継者がいないことや、お茶の主戦場がペットボトルに移行してしまって高品質のお茶が売れなくなっていることや、いろんな問題を抱えています。この三年番茶が全ての解決になるとは限らないかもしれないけれど、それまでの仕事をやめて掛川三年番茶に情熱を注いでいる先輩がカッコいいんだよ。
むとうに三年番茶あるので、ぜひ飲んでみてくださいね。
美味しくてかっこいい。
それだけで素敵だと思いませんか?