エッセイみたいなもの

今日のエッセイ プレミアム会員の素 2021年3月5日

2021年3月5日

少しずつプレミアム会員のお申し込みが増えてきています。

当初計画していた年会費を半分くらいの価格にしているので、常連のお客様にはびっくりされるし「こんなに安くて大丈夫?」と心配される始末である。

僕の知人にディズニーランドが大好きな人がいる。その人と一緒に働いたのは、もう10年以上も前だし一緒に出かけたこともない。ただ、僕から見たその人はいつもさわやかで穏やかだった。ある時、世間話で偶然に聞いたのだけれど、その人はほとんど毎日ディズニーランドに行くそうだ。当時の職場はシフト制だったので、早番のときは夕方から行って遅番のときは朝行くという徹底ぶりだ。「異世界人」まさにそんな印象を受けたのを覚えている。

「毎日行って何しているんですか?」と尋ねた僕に、その人は「なにも。ただ散歩してたまにテラスでコーヒー飲んでくるだけですよ」とさらりと応えた。これには少々面食らったよね。だって、ディズニーランドは家族や友だちと行って乗り物に乗ったりワイワイ騒いで楽しむ場所だって、僕はそう思い込んでいたから。「こんな楽しみ方もあるんだ」と、それだけのことを感じてその時の会話は終わったのだけれど、これがずっと時間が経ってからも忘れられないんだ。

僕は、料亭やレストランは「食をエンターテイメントとして楽しむ」という面を持っていると考えています。ということを常々言っているのだけれど、この「エンターテイメント」「アミューズメント」という部分を、「ディズニーランド」とをベンチマークとして見るようにしている。僕の中では日本最高峰だと思うしね。だから、自然な流れとして彼の「毎日散歩しに行く」が思い出されたんだ。

「どうしたら、毎日のように気楽に立ち寄れるかな」「ひとりでボーッと出来る空気感って贅沢だね」「リラックスする時間があるだけでいい日になるかも」

で、7年ほど前に「むとうの年間パスポート」を構想し始めたの。この頃は、まだ世の中にサブスクリプションという言葉すら浸透していなくて、飲食店で実施するにはシステムを一から自分で作らなくちゃいけなかった。だからシステムを作ってくれる会社に見積もりをとって、マーケティング費用とか、集客プランとか色々考えるだけは考えた。

ただ、当時はまだ会社の体力が全然なくて、必要な資本が準備できなかった。それじゃあ、まずは会社の体力をつけなくちゃってことで、地道な体質改善を始めることにしたんだよ。料理のことも一から見直したし、経営も学び直してさ。老朽化していた厨房を改装したのも、実は、全部「むとうの年間パスポート」構想に向けたステップだったんだよね。

まだ始めたばっかりだから、プランとか運用とかいろいろと見直していかなくちゃいけないけれど、じわりじわりと歯車が回り始めました。

気楽にリラックスできる「いい場所いい時間」を作り出すことが僕たちのテーマです。

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  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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