エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 掛川緑茶で乾杯条例 2021年4月12日

掛川市には「緑茶で乾杯条例(通称)」があります。施行は2019年4月です。そこから4年前だったかな、掛茶料理むとうで緑茶をソフトドリンクメニューに載せ始めたのは。

掛川に帰ってきてしばらくの間は、勉強のために外食しまくっていたんですね。その大半のお店で出してくれるお茶が全然美味しくないの。「え?茶処なのに?」って思うじゃない。で、お茶が美味しくないと料理が美味しくてもトータルでは「そこそこのお店」っていう印象が残る。この時に、全体感の中では料理以外にはずしちゃいけないものがあるんだなってことを学んだんだけど。ひとつ疑問が残った。
「せっかく茶処に帰ってきたのにお茶が美味しくないのはなんでだろう?」

それで改めてお店のお茶を見直してみたんだ。こりゃいかん。うちも人のこと言えないよ。ということで、その日のうちに近隣のお茶屋さんでもっと良いお茶を買ってきたんだ。そうしたらとても評判が良くて、お客様にも褒めてもらえるようになったんだけどね。今度はお茶ばっかり注文されるわけ。当時は無料だったからたまらないですよ。注文が入るごとに急須で入れるから手間だってかかる。で、思った。
「烏龍茶が有料でOKなのに、なんで緑茶は無料じゃなきゃいけないんだろう?」

掛川だからね。お茶産業関連の知り合いはいっぱいいる。その人達が誠心誠意お茶を作っているのも知っている。それが、お客様からの評価が無料で良いのか。ぼくら提供する側がお客様にちゃんと価値を伝えるためにも有料にしたほうが良いんじゃないかと。有料にした上で、それでも注文してもらえるように工夫をすることが大切だと。
なんか、決意しちゃったんだよね。
それからは、お茶のメニューは数種類から選べるようにしたし、湯呑や急須の茶器も一新した。お茶の専門家には選び方や入れ方はもちろん、製造工程の違いとか茶葉の違いとかを教えてもらいにも行ったよね。

そんなこんなで有料メニューにしたんだけどさ。はじめのうちは厳しい意見もいっぱいもらったよ。「このみせはお茶なんかでカネをとる」「普通のお茶がないなんて非常識だ」とか。
その度に「有料メニューをやめたほうが良い」と言われることもあったけど、どう伝えれば納得してもらえるかを感がることが先だって励まして続けてたんだ。
「掛川でお茶『なんか』って言ったら、怒られますよ(笑)」
なんて言ってたらね。同じグループのお客様がさ
「おらが作ったお茶をこうやって頑張って売ってくれてんだから、なんかって言うな」
って言うのよ。そうだ、掛川なんだから「良いお茶を売る」活動には絶対味方がいるんだ。ということに気がついたんだ。ね、さすが産地だよ。

掛川に帰ってきてから1年ほどの間に、お茶産業のいろいろを飲食店側から経験してしまったからね。もう止まれなくなっちゃって。それが条例になるとは思っていなかったですよ。
続きはまた今度

  • この記事を書いた人

武藤太郎

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