エッセイみたいなもの

今日のエッセイ たべものラジオこぼれ話。伊藤博文というひと

「たべものラジオ」のこぼれ話です。と言っても、今回はカットしたエピソードではないけどね。

現在、第5シーズン「命がけ?魅惑の食材、ふぐ」が配信されている。短い割には大変だった回だ。とにかく、資料が少ない。いや、一応有るんだよ。有るのだけれど「ふぐ」を主体にした書籍は少なくてさ。そのほとんどが毒や料理の話なの。ふぐにまつわるエピソードや、歴史的に人類がどう関わってきたのか。それぞれの社会とふぐがどのように関わってきたのか。そういうのがまとまっている本が有るわけじゃない。とにかくあちこちから断片を拾い集めるしかないからさ。

今回は幅広かったな。食や食文化にとどまらず、人物史や歴史社会も調べたし、本草書みたいなものも読んだ。ラジオ的にはあんまり盛り上がらないからサラッとしか話さなかったんだけど、元禄文化と化政文化の比較なんかもした。個人的には面白かったけどね。あと、日清戦争と伊藤博文も。
そういえば、どこかのサイトに凄い適当なことが書いてあったな。「伊藤博文が付き人の高杉晋作に対して・・」って。高杉晋作って伊藤博文の兄貴分だからね。しかも明治になる前に亡くなっているし。まさか、同姓同名の付き人?それともネタ?

ラジオでは軽くしか話さなかった内容では、伊藤博文という人物についての歴史は面白かったなあ。現代の日本人でその名を知らない人はいないだろうけれど、実際に何をした人でどんな人物だったのかは知られていないよね。

昔の千円札の肖像に使われていたから、「ひげをはやしたおじいちゃん」のイメージもあるみたいだった。今は使われていないお札だからうろ覚えなんだろうけれど、割と優しくて細面の文官というイメージを持っている人もいるんだよね。でも、実際はかなりの豪傑。背は大きくないけれど、がっしりとして筋肉質の強靭な体躯だったようだよ。
素直で気さくな性格。総理大臣になっても、散歩中にそのへんのおじさんと気軽に話し込むくらい。お世辞は言わないし、まっすぐ。だけど、おれはこんな事もできるんだということを自慢したがる子供っぽい面もある。お金や出世には無頓着で、財産は殆どなかったし、あまりにも質素だからと明治天皇が小遣いを渡したこともあったそうだ。
政治の内容については、賛否あるんだろうけれど、その無私の精神は当時は評価が高かったようだ。
欠点といえば、女好き。若い頃からあちこちで遊んでいたし、イギリス留学したときも色街へ通ったとか。政府要人になってからも、いや総理大臣になってからも浮気が止まらない。

元々、長州の維新の志士だ。吉田松陰の弟子で、当然松下村塾にも通った。高杉晋作を兄と慕い、晋作が藩内でクーデターを起こしたときには一番に加わった。幕末はイギリス公使館の焼き討ちにも参加をしている。
初代総理大臣で、歴代最年少の総理大臣。総理経験は4回。貴族議員議長に政党政治の確立、韓国総督府など。最後は、中国のハルビン駅で暗殺される。

さあ、どのくらい知っていたかな。こんな歴史事実だけを知っていてもしょうがないんだけどさ。伊藤博文がどういう考えでどう動いたのか。誰に影響をうけて、誰と関係しあっていたのか。そういうのが面白いし、現代を生きる上でも参考にすることもあるかもしれないじゃん。
こんな人が、毒魚として恐れられ続けた「ふぐ」を公式に日本料理の一角に加えるきっかけを作ったんだから。不思議だよね。

今日も読んでくれてありがとうございます。書くにはボリュームが多すぎる。とはいえ「たべものラジオ」で話すには内容が離れすぎる。そういうことで、収録の合間に弟に話しまくったんだけど、実はめちゃくちゃ面白かったんだって。録音ボタン押しておけばよかった。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

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