「たべものRadio」のこぼれ話です。まだ本編を収録していないシリーズなんだけど、たぶんこれはカットかなあと思ってね。ジャガイモシリーズから、インカ帝国近辺の話。
インカ帝国って名前は有名だけれど、日本人にとって謎の多い文明だって感じがする。よくよく考えたら、学生時代に世界史の授業でもほとんど取り扱いがないんじゃないかな。手元に高校の世界史の資料集がある。ちょっと見てみよう。索引を見てもインカ帝国は載っていないな。大航海時代に新大陸に渡ったスペインのコンキスタドールが滅ぼしたって話くらい。そもそも、南米の国が掲載されているのは近代以降。独立したとか共産主義革命とかの話。
インカは、古代文明じゃない。まずそこからだ。鎌倉時代から室町時代と同時期に存在した文化。かなり広大な国で、ジャガイモを主食とした生活を送っていたようだ。アンデネスという段々畑を作って、リャマやアルパカなんかを家畜としていた。金銀が豊富で、クスコという首都はきらびやかな装飾が施されていたんだって。コンキスタドールによって全部剥がされてスペインに持っていかれちゃうんだけど。
インカ帝国日本人起源説というのがある。実は、インカ人ってルーツが日本人じゃないかってね。真偽の程はわからないんだけど。これを研究して書籍にまとめたのという人物がいる。ペルー人で駐日大使をつとめた人らしいんだ。読んでみたいと思って、ググってみたんだけど書籍は出てこないんだよね。まぁ、読めないんだけど。言語がわからない。
確実な状況証拠というのもちゃんとある。アメリカ大陸の人類の伝播については、元々は北から南へ広がっていったと考えられていた。アラスカから入っていってね。たしかにそう習った気がする。けれど、1990年に登場した人骨の解析で否定された。この解析でわかることは、食生活なんだ。
ジャガイモ、米、麦、豆類というグループ。トウモロコシ、ヒエ、キビ、アワのグループ。くらいには判別できるらしい。でね。インカ人とか、それ以前のアンデス文明での食生活の中心が前者だってことがわかったんだよ。もし、北から南下してきたのであれば、途中でトウモロコシを主食とする文化を挟むことになる。それが見られないそうだ。
さらに、不思議なことに遺伝子調査では彼らがモンゴロイドであることがわかった。モンゴロイドっていうのは、日本人をふくむアジア系の人種だ。どのような経緯かわからないけれど、とにかく南米にモンゴロイドが渡ったってことなんだって。こっちはあんまり証拠にならないかなあ。だって、北米大陸にもモンゴロイドがいるからさ。
ティティカカ湖って、有名な湖があるよね。チチカカ湖って表記することもある。実は、これの語源が父母から来ているって言っているんだ。母というのは、古来日本語ではカカと呼び習わしてきたからね。今でも名残がある。お母さんという呼び方は、かかさまがなまったものらしいし。
アンデス文明って、スペインが攻め込んでくるまでの時点で文字がなかったんだ。絵やキープという伝承方法はあるにはあるけれど、基本的に口頭伝承。
完全に空想でストーリーを考えてみる。本当に日本人が渡ったとしたら、時期的には平安時代後期ということになるよね。もう帆船はあるか。文字は中国から教えてもらっていたけれど、扱えるのは貴族のみ。農民はもちろん、大半の武士は文字がない。言葉だって、現代の日本人がヒアリングできないレベルで発音が違うし、文語体での会話が多かったようだ。ぱっと聞いた感じでは、中国語?タイ語?何語?ってくらい。
時代的には、倭寇が登場しているころだよね。たぶん、倭寇は文字を使っていなかったんじゃないかな。もしくは、一部の人だけとか。この人達が帆船で太平洋に流れ出てしまったとする。潮の流れを考えると、自ずと南米あたりにたどり着くらしいんだ。少しだけ文字を知っていて、農業技術もある海賊的な人たち。これがもしかしたら…。
今日も読んでくれてありがとうございます。証拠が無い話だからね。全部ただの妄想。そういうことがあっても面白いかもしれないよね。ってくらいなものだ。これが確定された事実のように広まってしまうのは違和感があるので、こんな仮説もあるんだってことを紹介するくらいかな。あと、妄想って楽しいよね。てなくらい。