エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 「人前で話すこと。」テクニックじゃない大切な部分を。 2022年2月4日

2022年2月4日

プレゼンテーションをするときと、講師を頼まれたときでは話し方が違うんだよ。へぇそんなものか。と思う人もいるかも知れないけれど、「誰でも出来る上手なスピーチテクニック10選」みたいな感じの書籍だと、どっちも一緒くたにしている気がするんだよね。

別に、スピーチの仕方を教えるプロでもなんでもないんだけどさ。違いはシンプル。

こちらの意図していることを100%伝えるか、それとも伝えないか、が決定的に違うの。

先に言っておくと、これはスタンスの問題。

講師とかスピーチ、もっと言えば対話については、ぼくはあまり詳細に話さない。だって、大変だもん。つかれるし。もちろんそれだけが理由じゃないけどね。メタファーを多用したり、イメージを膨らませやすい単語を頻繁に使うようにしたり、そんなことを意識している。無言の時間もつくるし、情熱的な喋り方もしない。

何をしたいのかというと、なるべく余白を作るようにしているってことなんだよね。

脳内で映像化して感情に響くまでの時間。

咀嚼して飲み込むまでの時間。

それを自分なりの解釈に置き換える時間。

これが欲しいんだ。

だいたい、ぼくなんかが講師をやるときっていうのは、ぼくにはない様々な情報や経験を持っている人が聞いてるわけだ。中学生だとしても、現役の中学生活はぼくなんかよりもずっと詳しいし、人間関係だって複雑だ。毎日何十人もの人と関わり合いながら生活することって、社会に出るとあんまりないでしょ。

そのくらいバックボーンが違う人同士がいて、どちらかの意図を100%伝えるなんてことは無理な話なんだよね。

だったら、勝手に解釈してもらって、勝手に勘違いしてもらって、勘違いした結果別の新しい概念が生まれて、それを聞いて「それも良いね」って言うほうが良い。

人間は誤解するのがデフォルトだと思うんだよね。

そう思っておいたほうが楽ちん。

誤解が原因で喧嘩になることもある。けれど、一方で誤解のおかげで新たな発明が生まれることだってあるんだよ。

東洋の霊獣「麒麟」。本物のキリンを見たことがない人に、限られた情報だけを与えて想像で絵を書かせたらあんなふうになっちゃったんだよね。そしたら、霊獣みたなモノを「新たに創造した」わけだ。凄いことじゃん。

このスタイル。例えば学校の授業で、受験対策なんかだと困るかもしれない。商談や重要な会議で決済を取るときには困るかもしれない。だから万能じゃないし、そういう意味でプレゼンテーションはプレゼンテーションなりのやり方があるんだ。ぼくだって、全然違うもん。全力で100%伝えるための工夫をするよ。

状況によって、スピーチの仕方は全然違うってこと。

ひとつにまとめて、万能だというようなことは無いんだと思う。万有引力やエネルギー保存みたいな世界を表すシンプルな公式は無い。ぼくもあなたも人間なんだから。人間ってそんなにシンプルじゃないでしょ。

今日も読んでくれてありがとうございます。ちなみに、何百回スピーチしたって上手にはならない。試行錯誤が必要なのね。かといって、考えるだけでもダメなんだけどさ。両方を交互にやってく。スピーチに限らずなんでもそうなんだろうけどね。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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