エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 「料理」とか「楽しみ」とかの価値を考える 2021年5月28日

2021年5月28日

仕事をするためにハイスペックな体を維持しておきたいというニーズがあります。たぶん、ある。ジムに通うのだって、それが主な理由なんだ。体を鍛える理由は人それぞれだけれど、ぼくには「仕事のパフォーマンスを高い状態で維持していきたい」という理由が一番大きいかな。

経営者仲間でもトレーニングを日課としている人がいる。そういう人たちは、歯磨きをするかのように日々のスケジュールに組み込んでいる人が多いかもしれない。伸びている企業のエグゼクティブと呼ばれる人たちは、特にそうだ。小さなことを積み重ねることの方が、瞬間的に大きなことをやるよりも効果的だということを体現しているのかもしれない。なんてことを考えさせられるんだよね。

だってさ。ジムの筋トレってめっちゃ地味。コツコツと繰り返して、少しずつ少しずつ筋肉量を増やしていくわけでしょ。出来るなら、一日だけむちゃくちゃ頑張っていっきに筋力がついてくれたらと思うことだってあるんだけど、そんなわけないもんね。コツコツと繰り返す以外にないわけだ。

実は同じような理由で、食事も影響しているんじゃないかと思う。仕事を心の底から楽しんでいる人たちは、食事にも気を使っている人がいる。「仕事のパフォーマンスを高い状態で維持する」という目的に対して、「食事の管理」がもっとも効果的で費用対効果が高いからね。ぼくらの体は、食べたもので出来ているということは明確だよね。ほんの数ヶ月の間に体の細胞は全部入れ替わっちゃうんだって。だったら、その新しい細胞はどこからくるの?食事で体に入れたものを原料として作る以外にないんだもんね。細胞の材料は良いものの方が、絶対にいいでしょ。

外食ばっかりだと栄養バランスが崩れるようなことを言われることがある。会席料理だって同じ文脈で語られることもあるんだけどさ。ここではっきり言っておくと、「栄養バランスめっちゃ考えて作ってるから!」。
ただ、それって残念ながら1食のことなんだよね。一年間365日×3食=1,095回の食事のうちの1回。他の1,094回の食事が不健康な食事だったら、焼け石に水ってことになる。そういうことを考えると虚しくなるかもね。

毎食毎食が品行方正じゃなきゃいけない、とは思わない。というか、つまらないじゃない。そういうの。もっとゆる~い感覚で良いと思うんだけど。それでも何を食べるのか、何を食べないのかっていうのは意識しておいたほうが良いよね。そういうことに気がつくための1回の食事になれたら、ぼくらが栄養バランスをめっちゃ考えているということも報われるかな。

やりたいことを思いっきりやる。仕事も遊びも思いっきり楽しむ。そのためには体が元気で心も元気じゃないといけないよね。こればっかりは、人間が生きている以上は逃れられない。だから、そのために食事を管理するということが必要だ。そして、それはトレーニングのように継続することが重要だ。
これはロジックで考えたらそうなる。

継続するということが大事なんだけど、苦しいことって続かないでしょ?だから「料理」が存在するんだと思うよ。餌じゃなくて料理。栄養摂取のためだけじゃなくて、楽しいから続けられる。そのための料理なんじゃないかな。だからこその、遊び要素を含んだ料理に価値があるんだと思ってます。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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