お茶の話ばっかり続きます。いまの時期の静岡は「お茶」の話が多くなるんですよ。こればっかりはしょうがない。
お茶の歴史を調べてみるといろいろと面白いことがある。静岡県にお茶の木を持ってきたのは聖一国師というお坊さんで、今でこそ日本随一の茶処ではあるけれど、はじめは一本の苗木だったんだって。何年も不思議に思っていたのだけれど、なんでお坊さんがお茶の木を広めたんだろう。日本にお茶の文化を持ち込んだのだってお坊さんだ。商人や行政官が商売や国造りのために広めたっていうほうがありそうな気がする。それも、野菜や穀物だったら、直接生命維持に繋がるものだから広がりやすいだろうけどさ。お茶って嗜好品だからね。そんなに広がるのかな。
これが、最近わかったんだ。2つの知識が組み合わさったことでね。
まずひとつ目にお坊さんってどういう存在なのかということね。
お坊さんって、今でこそ仏教という宗教の人という感じだけど、古代日本ではそうじゃなかったんだよね。このへんの感覚を掴むのが難しかったんだけど。聖徳太子とか蘇我氏物部氏の時代は、仏教は総合学問だったみたい。思想だけじゃなくて、政治学、天文学、地政学、建築学、医学といったものを総合的に学んだ人がお坊さんだったんだって。だからお寺を建てられたのかな。
比叡山延暦寺ってあるじゃないですか。あのお寺って、今で言うところの大学みたいな存在として捉えると現代人の感覚に近いかもしれないです。
もうひとつには、お茶がどんな存在だったかということ。
当時は、お茶は薬だったのです。ここで言うお茶というのは、まだ現代の煎茶を指すのではなくてお茶全般のことなんだけど。1800年前の中国で出版された「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」には茶葉には解毒作用があると記載されています。日本でも栄西禅師が記した「喫茶養生記(きっさようじょうき)」では、お茶は“神仙妙薬”と絶賛しています。なんだか漢字の雰囲気だけでもスゴイよね。
この2つのことがつながると、お坊さんがお茶を広めた理由が見えてくるんだよね。当時の人の感覚で書き直すと「医学の先生が薬を広めた」ということでしょう。
現代わかっているお茶の効能だけでも、ざっと記しておきましょう。
抗癌作用。視力の維持作用。老化防止作用。減肥作用はコレステロール値の低減ね。抗菌作用は有名。免疫力を高める作用。高血圧の降下作用。
いろいろありますね。薬として珍重されたのもわかります。
静岡県民が健康寿命日本一であることも、お茶と無縁というわけでもないんじゃないかな。めっちゃお茶呑むもんね。
いくら健康に良いからって飲み過ぎには注意してくださいね。体を冷やす作用もありますから。