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今日のエッセイ お酒と上手に付き合うポイント 2021年6月22日

以前、お酒のことを書いたら「もっとお酒と上手に付き合う方法ってないの?おつまみなんかも気をつけたほうが良いことってある?」と聞かれました。ぼくの周りにはお酒が好きな人が多いからね。大酒飲みから、味わうのが好きな人、飲み会の場自体が好きな人、いろいろだ。酒好きが周りにいるってことは、まあ当然ぼくもお酒好きだよ。

お酒なんか一切飲まないほうが良いということは言わないし、ぼくの口からは言えるわけない。むしろ、適量のお酒は良いこともある。酒は百薬の長って言うでしょ?あれが全くの嘘だということを公言している人もいるけれど、ぼくの見解ではある程度正しいと思っている。実際に証明されているところだけを取り上げると、「胃の働きを促進する」ことで消化を助けること、体の血行を良くして細胞の活性作用があること、リラックス効果を得てストレス解消になること、の3つかな。

始めのふたつは、そもそも血行が良くなるということに起因している。血行が良くなることで体の何処かがおかしくなるということはあまりないんだよ。これは、あんまり説明する必要がないかもね。もう一つのリラックス作用なんだけど、これも実は気分だけの問題じゃないということまで判明しているんだって。ドーパミンって聞いたことない?脳内の快楽物質とも言われている神経伝達物質のことね。これが分泌されると幸福感が高まるんだけど、お酒はドーパミンの分泌を促進する効果があることもわかっている。
理屈抜きに楽しいということは、酒飲みの皆さんなら言わなくてもいいか。

お酒と上手に付き合うポイントは、胃や肝臓の負担を軽減することにある。

一番カンタンに出来ることで、気をつけて欲しいのは「空腹でお酒を飲まない」ということ。これは聞いたことがある人も多いかもね。仕事が終わって、何かの集まりが終わって、さて冷えたビールを一杯やるか。となると、ついつい生ビールをグイグイと喉に流し込みたくなる。これが格別に美味しいんだよね。それはわかる。だけど、そのまま会話に夢中になって何も食べないというのがよろしくないんだ。だから「なにかを食べる」という習慣をつけたほうが良いよね。

「飲む時は食べながら」をクリアすることが出来たら、次に気をつけて欲しいのは「食べるもの」だ。居酒屋チェーンでの一番人気メニューといえば、鶏の唐揚げなんだそうだけど、実はあんまりおすすめできないんだよね。ダメというわけじゃない。量を加減してほしいんだよ。問題になるのは脂質。脂質自体は敵じゃないということを最初に断っておくけれど、消化するのに最もパワーが必要なのが脂質。とくに肉類のような「常温で固形化する脂質」は、負担が大きい。日本人にとってはね。普段は問題なくても、お酒を飲んでいる時は気をつけて。ただでさえアルコールで胃や肝臓に負担をかけているんだもん。食べ物で追い打ちをかけることないじゃんね。肝臓くんをいたわる意味で、ちょっと脂質の量には気をつけてあげると良いよ。

逆に積極的に食べてもらいたいのは「タンパク質」。タンパク質は肝臓の働きを助けてくれるからね。特に植物性タンパク質は肝臓の生成修復に効果的だと言われているから。だから「豆腐」や「枝豆」がおつまみの定番になっているのはとても理にかなっているとうことだね。
あと、タウリン。これは栄養ドリンクなんかにも入っていてテレビCMでも聞いたことあるんじゃないかな。タウリンは肝臓の働きを活性化させる。肝臓は脂質の分解もアルコールの分解もしなくちゃいけないんだから、とっても大変なんだよね。だから、もっと働けるように肝臓をブーストさせてあげるという効果がある。牡蠣なんかが有名だけれど、白身魚やイカやタコにも含まれている。ほらね。昔から酒の肴は魚ということになっているのだけど、ちゃんと理にかなった組み合わせだったんだ。もちろん、添えられている海藻類も水溶性食物繊維とミネラルが含まれていることで、腸の負担を和らげて働きやすい環境を作ってくれている。

今日も読んでくれてありがとうございます。なんでこんなことに詳しいのかって?会席料理自体が、「お酒と上手に付き合いながら楽しむ」為に発展してきた料理のスタイルだからだよ。そもそも、それが源流だったんだ。今はもちろん変遷しているけれどね。会席料理を学ぶのなら、源流くらいは抑えておかなくちゃね。あと、ぼくがお酒好きだというのが一番の理由だよ。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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