エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 便利な肩書が欲しいんですけど? 2021年10月14日

2021年10月14日

今の職業は何ですか?と聞かれたら、何と答えるでしょうか。答えることは出来るよ。料理人だし、経営者だし、最近だとラジオ番組もやっているし、こうやって文章も書く。それから、まちづくりの相談に乗ることもあるし、商品開発やら販売のアドバイスを求められることもある。近年は学校が中心だけど、講演を依頼されることもある。ねえ。ナニモノなんだろうか。

肩書について考えることがある。名刺をもらって、なんとかコーディネーターとかデザイナーと書いてあれば、なんとなく類推することが出来るよね。だけど、実際にいろいろと話しを聞いてみるといろんなことをやっている人も多いということがある。もう、肩書とは関係なく個人名で仕事しちゃっているんだよね。職業「武藤太郎」みたいなね。池上彰さんはそのわかりやすい1人。明確な肩書がわからないけれど、池上彰という存在が仕事になっている。
そうやって、考えていくと肩書なんていらないような気もしてくるんだよ。

だけど、名刺に肩書が書いてあると便利なこともある。すぐさま、その人が何者なのか、何をしたいのか、何が出来るのかがわかりやすいから。ほら、自己紹介するときでも自分が何者かを端的に喋らなきゃいけないじゃない。あんまり色々なことを言っても、相手には届かないし。だから、ぼくなんかは店の名前がそのままぼくの看板にもなっているのだけど。

そういえば、今不意に思い出したのだけれどね。ぼくは、課題解決屋だと言われたことがある。問題解決でも良い。なんだか、ふわふわと心のどこかに漂っていた言葉が、妙に気になる。自分ではあまり意識をしていないのだけれども、そのように見えるのだからどうやらそういった側面があるらしい。

確かに、思い当たるフシが無いわけじゃないんだ。特別になりたいものがあるわけじゃなくて、どうしてもやり遂げたいことが元からあったわけじゃない。その仕事に携わっていくうちに、「なんとかならんかな」とか「ここ変えたら良いのに」とか、そんな気持ちが沸き上がってくる。そうしたら「これ試してみようか」とやってみて、自分でダメだったら応援を頼む。なんてことをずーっとやっているんだよね。
思い起こせば、全く新しいことを自分から発想してきたことは少ないかもしれない。

そんななかで、ぼくがとる手法は「考え方から組み替えてみる」だ。一応、ロジックツリーやらSWOT分析やら便益の整理なんてこともフォーマットとしてやるのだけれど、どちらかというとストーリーを整理して組み直すというのが多いかな。知人の相談に乗っていると、ストーリーがうまく繋がっていないことがおおいから、一つ一つを整理し直してつなぎ直して、一連の大きな物語に組み直す。どことどこが暗渠でつながっていて、どこを押せばどこに響くかがわかりやすくなるから。それもロジックだけじゃなくて感覚的にね。

ということを、誂えるとか設えるという表現をしているのだから、やっぱり料理人でもあるなあ。目の前にある食材をどうやったら美味しくなるのか、その盛り付けはどうしたら情緒豊かで食べたくなるのか、楽しくなるのかということを考えるのが料理人だとすると。基本的にやっていることは同じだ。で、献立の中で濃淡というかダイナミクスをつけていくのも、各事業の関連性や濃淡を調整するのと一緒だ。
ぼくは創作料理のような斬新な料理はあまりやらないから、問題解決も古典的な手法の延長上でやることが多いのかなあ。

今日も読んでくれてありがとうございます。久々に自己分析をしてみた。というか、自己分析になっちゃった。こんなことを開示してもしょうがないんだけどね。似たようなことを考えている人もいるだろうしさ。なんかの参考にはなるのではないかと。そうそう、ついでにお知らせ。お仕事のご依頼がありましたらお店の問い合わせフォームからご連絡いただければ対応します。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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