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今日のエッセイ 冷蔵庫の正当進化 2021年9月19日

2021年9月19日

最新のデジタル家電というのは目覚ましい進歩ですね。クックパッドと情報を連動した冷蔵庫とか、もうびっくりだ。ぼくらの業界では無縁だけどね。いろんな方向へ進化していくもんだ。

飲食をビジネスにしているぼくらにとって、本質的な部分以外の進化はじゃまになる。悪い意味じゃないよ。F1とかそういうモーターレースに用いられる車に、バックモニターとか車線逸脱防止支援システムとか意味ないでしょ。そういう意味でね。とにかく、走る曲がる止まるの基本性能を突き詰めて、早く効率よくへ到達すること。まあ、それが求められることだね。
一般家電でも、その方面への進化だってしてるのじゃないかな。特に冷蔵庫なんかは接点が少なすぎて知らないや。今度ちゃんと見てみよう。

ところで、冷蔵庫の正当進化とはなんだと思う?ちゃんと冷えることだろうか。いやいや、それだと寒冷地に住んでいる人の要望には応えられないな。なんせ凍らないために冷蔵庫を活用しているのだから。ということで、冷蔵庫に最ももとめられていることは「保存性能が高いこと」なんじゃないなと思うんだ。
その上で、体積効率が良いとか、省エネだとか、コスパが良いだとかが大切になってくる。

少々価格が高いのだけれど、最新の冷蔵庫の保存性能はかなり上がっている。いくつかの業務用冷蔵庫を開発している企業からリリースされているのだけれど、マイナス温度でも凍結しない冷蔵庫というのがある。長いところだと、もう20年くらい前からある。

魚や肉、野菜、果物といった食材の特性によって適正な設定温度が違うのだけれど、今までの冷蔵庫には戻れないくらい保存性能が高い。掛茶料理むとうでも使っているよ。これのおかげで随分と食品ロスをへらすことが出来ている。生食用の魚が今までの倍くらいの保存ができるから、回転が良いときは全部刺し身で使い切る。加熱用にしたり、賄い料理に回したりしなくても良いから確実に効率が良くなっているよ。

知人で同じ冷蔵庫を使用している人は、ぶどうの保存に効果を発揮しているそうだ。秋に収穫して、商品として販売できる期間が春まで伸びたと。通常だったら、冬までしか保存ができないのに春でも美味しく食べられるというのは嬉しいよね。
ちなみに、この冷蔵庫は肉や魚、酒類の熟成にも効果があるんだ。鯛なんかは、締めてから40時間くらい寝かせたものが美味しいのだけど、それを促進してくれる。コツコツと情報を集めて、新しい技術を学んで取り入れるということも、料理人としては必要な努力なんだと思うよ。

20年前の初期モデルに比べて、随分と低価格になったことはなった。でもまだ十分高価な冷蔵庫だ。軽自動車が買えるくらいにね。ぼくらのように、仕事で使用するから採算が合うのだけど、まだまだ一般家庭に実装できる価格じゃないよね。こういう正当進化は大歓迎だから、早く普及したら良いのに。それだけで、フードロスの改善に繋がるだろうから。

今日も読んでくれてありがとうございます。そう言えば最近「賞味期限の見直し」が発表されたよね。消費者庁が賞味期限の設定基準を変更するって。加工技術や保存技術がこれだけ進化しているのだもの。時代に合わせて修正というところかな。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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