大人になってから、いま一番勉強しているかもしれない。たべものラジオというPodcastを始めたからということもあるのだけれどね。とにかく、本を読んだり、実験したりと勉強しまくっている。普段からやっている人はアタリマエのことになっているのか。
手元に積み上げてある本「積ん読」をざっと眺めると色々ある。料理、食の歴史、人文学、歴史、社会学、哲学、経済、経営。カテゴリーが難しいものもある。全部理解するのは無理だし、何冊か読み重ねていくうちにハッと気がつくこともある。基礎知識を積み上げていくことで読めるようになる本もある。
ここ最近で気がついたことはここだ。
初めて読んだときは「難解すぎて手に余る本」も、他の本を読んでからだと、面白さが分かることがある。
当たり前過ぎてしょうもないことだけど、今更体感しているんだよね。今年の夏は、お茶について調べまくった。歴史や人物や技術。いろいろね。明治維新の頃の茶業開拓なんかは、面白かった。実際Podcastでも近代茶業史が一番伸びているのね。ぼくが一番面白いと思ったところだもん。
この時代のことを調べてるときが、実は一番大変だったのよ。一冊にまとまった本が無くてね。見つけられなかっただけかもしれないのだけど。恩師がまとめてくれていた文書をもらった。これがきっかけになって、周辺を調べることが出来たんだ。ところが、この文書が難しくてさ。時代背景とか、茶業技術とか、そういうのが頭に入っていないと「ん?どういうことや?」となること請け合いだ。初めて読んだときは、全然進まないの。
ところが、ラジオ台本も終盤に差し掛かった頃に読み返してみると「これ、面白いじゃん!」に変わったの。変わっていたのは本じゃなくて、ぼくが変わってたのね。
基礎知識があるから、内容を読み解くことが出来るということもある。それもあるし、伏線回収の楽しみがあったんだ。「江戸時代のあれが、こんなところでつながるんだ」とか、「イギリスの名誉革命がこんなところに影響しているんだ」とか。今までお茶とは全くの無縁だと思っていたことや、その瞬間では取るに足らないことが、後の時代になって重要な伏線になってたりする。これが面白かった。暗渠が交わる瞬間がね。
こういう体験をしてみて思うのが義務教育だ。小学校から中学校までの授業は、割と表面をさらうような学習が中心に感じる。歴史も繋がりじゃなくて、点で学ぶ。算数だって、高校数学の頃には「実は小学校で習ったことは本質とは違う」みたいなこともあるじゃない。だけど、これが伏線回収になっているのかもしれない。「あー中学生の時に習った改革って、ここにつながるんだ」とか、「率の概念ってこう広がっていくんだ」とか。なるほどね。今頃わかったわ。となる。
この伏線回収的なストーリーって、なんか面白いじゃん。面白いと思う人がどのくらいいるは知らない。だけど、クイズや情報を扱うテレビ番組でたくさん扱っているのだから、そこそこたくさんの人が面白がっているんだと思うんだよ。で、義務教育って凄いな。という感想ね。後にこういうことがあるよ、ってことを学生に伝えたい。
今日も読んでくれてありがとうございます。暗渠(あんきょ)っていうのは、平たく言うと地下水路のこと。地上の水路が地下に潜っていって、あるところでまた表面に現れたり、別の水路と合流したりするじゃない。それが学習と重なる感じで面白いなってことで「暗渠の交わり」って、勝手に表現してみたのです。