エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 緑茶で乾杯条例とあいさプロジェクト 2021年4月14日

緑茶で乾杯条例の話の続きです。少し「あいさプロジェクト」の話をしなくちゃね。

ぼくが掛川に帰ってきたのが2014年。どういう気持だったかを正確に思い起こすのは難しいのだけれど「このまちをもっと楽しくしたい」という思いは郷土愛なのかな。とにかくそんなことを考えていて、しばらくは観光協会の仕事なんかをやっていたんですよ。そのうちに大きい団体の動きの重さがちょっと気になっていた時に、お世話になっている方の後押しもあって別働隊のようなチームを作りたいと思うようになったのね。それが「あいさプロジェクト」

まあ、奇特な人の集まりですよ。ほんとにね。プライベートの時間を使って集まって、ひたすら「掛川市を楽しくするには何をしようか」ということをずっと話してる。そして、これが面白そうだとなったらポケットマネーで活動を始める。こんなことを楽しそうにやる人なんて、いるんですよ。ぼくと弟をいれて6人なんですけどね。
まちの良いところをシェアするコミュニティを立ち上げたり、市街地にFree Wi-Fiを設置するように働きかけたり、高校生がまちづくりに参加できる仕掛けをしたり。まあまあの活動です。
でも、緑茶で乾杯条例の話は当初はなかったんですよ。

「緑茶の消費量日本一のまちづくりから、緑茶という特産品で観光客がやってくるようになるまで」のストーリーは、あくまで飲食店としての取り組みのつもりだった。それに、あいさプロジェクトや行政を巻き込むと、なんだか我田引水みたいでちょっと居心地が悪かったのもあったよね。
だけど、あいさプロジェクトの仲間が「これやろうよ!まちも茶業界もきっと盛り上がるから」って言ってくれて、チームで動くことになったのです。

さて、ここからが面白くなったところ。
認知度を上げるために、お茶割り乾杯イベントを何度か開催。焼酎と緑茶を5種類ずつ用意して、参加者は自分で好みの組み合わせや割合を試していく。そして、お互いに作ったレシピを紹介しあってあーだこーだと。これは盛り上がったよね。こんなメニューが市内のあちこちの店にあれば良いのに。という話にもなった。
じゃあ、みんなで営業活動しようかということになったんだけど、いかんせん6人じゃ限界がある。ということで、みんなで知恵を絞ったところで出てきたアイデアが2つ。
行政を巻き込んで目立つ旗印として「緑茶で乾杯条例」を作ること。もう一つは、共感してくれる団体のマンパワーを借りること。あいさプロジェクトみたいな勝手チームが条例提言したところで、信用が足りない。そこで商工会議所青年部に企画を持ち込んで、そこから提言活動をしてもらうことにしたんです。あいさプロジェクトから青年部に提言をして、青年部から市長に提言ね。結局ぼくも青年部の一員なので、持ち込んだ企画を自分で受け取ることになるのだけれど。

まあ、いろんな方からいろんな意見をもらいました。たくさんの人の応援もありましたし、そんなものやっても意味がないという人もいました。一部の方からは「条例なんか作れるわけがない。ナメているのか」と言われたこともありました。

それでもなんとか、話は進んで条例の制定にこぎ着けました。とはいえ、これが成果の全てではないからね。スタート地点に旗を立てただけですもん。少しずつ共感してくれる飲食店が増えてきて、緑茶や緑茶を使ったお酒のメニューを展開してくれているお店は20を超えたところです。

居酒屋に入った瞬間に目に入る光景。たくさんの緑色が揺らめくテーブル。他では見られないでしょ?地道に着実に、ぼくらの挑戦はまだまだ続きます。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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