「だから「マナー」ってなんなんだ?細かいことばっかり気にしていたら、ちっともリラックスして過ごせないじゃないか」とまあ、そんなことを考えたことがある人もいるかも知れないよね。
だけど、ホントにそうかな。
ということで、マナーってなんなんだ?
身近なところで、食事のマナーからいってみましょう。
例えば、食べ物を噛む(咀嚼する)ときは口を閉じるとか、器を持つときは人差し指で引っ掛けないとか。日本人であるぼくらにとっては、当たり前のことだよね。これって、一体何のためにあるんだろう。そういう目線で考えることってある?
大したことを言うわけじゃない。シンプルに「一緒にいる人を不快にさせない」ためだ。ただそれだけ。耳障りだとか、目障りだとか、マナーがあろうとなかろうと不快に感じそうなことはしないでおくのが良いよね、ということだ。これが「マナーが存在する意味」のひとつ。
マイナスにならないように気をつけるということね。
もう一つの「マナーが存在する意味」もあるんじゃないかな。プラスにすることもあると思うんだよね。不快にさせないんじゃなくて、気持ちよくなってもらうためのマナーがさ。
箸の持ち方なんかもそのひとつだよね。見ていて変だなと思うことはあっても、それで不快になることってあんまりないもの。マナー上不快に思うことはあるかも知れないけれど、マナーが定まっていなかったら気にしないかも知れない。だけど、箸の使い方で「美しい」と感じることはあるんだと思う。だから、これはプラスにするものじゃないかな。
もう少し掘り下げていくと、周囲への気遣いが気持ち良いってこともあるよね。AさんとBさんが会食をしていて、AさんはCさんにも気遣いができるとなったら、Bさんはどう感じるか。そういう視点だ。ほんとに些細なことでもそれは表現できるよね。自然にさりげなく、いつでも出来る人だと感じられたら、Bさんだって「Aさんは素敵だ」となって「Aさんと食事をするのが心地良い」となる。それを体系化したのがマナーってことだろう。つまり考えなくても丸暗記で出来るという便利アイテムだ。
この時、Cさんは誰でも良い。同席している友人や家族、同僚、部下誰でも良いよね。想像してみて。部下へもさり気なく気を使える人と、部下は部下として雑に扱う人。外から見てどっちが気持ちいか。仕事上、接待がある人は特に意識しておいたほうが良いと思う。部下も一緒ね。
2人きりの場合はどうすればいいか。これも「マナー」という形式にちゃんと残っている。店の人をCさんに設定すればいいだけだ。「この人は知人だけじゃなくて、店のスタッフにも気遣いができるんだな。」この環状は、確実に相手に心地よさを提供することが出来る。
お椀の蓋を仰向けに置く、食べ終わったらお椀の蓋はひっくり返さずに元通りに蓋をする。実は、これもその表現のひとつ。白木のテーブルを使っている店は少ないかも知れないけれど、そういうところにお椀の蓋を伏せて置くとどうなるか。きれいな輪っかが出来るよね。染みて跡が残る。だから、そうならないようにしてあげる。漆のお椀は逆さまに蓋をすると、縁や表の絵柄が痛みやすい。だから、もとに戻す。
食べ終わった器を勝手に重ねない。だって、その器の価値がわからないし、持ち主にとってどんな思い入れのある器なのかわからないじゃん。絵皿なんかは、特に気をつけてあげる。重ねると絵がハゲ易くなっちゃうからね。
マナーって気遣いを表現するのに困らないように、いちいち考えなくてもいいように体系化したものなんだよね。楽ちんテンプレート。
今日も読んでくれてありがとうございます。マナーを気にしてたら楽しめないっていうのは、周りの人に気遣いをしてたら自分が楽しめないって言っているのと一緒ってことになるのかな。完璧にこなそうとすると大変だし、なかには変なマナーもあるし。ただ、お互いに気持ちよく過ごすため、という感覚でいたらそんなに苦しくないと思うんだよ。