エッセイみたいなもの

今日のエッセイみたいなもの 2021年1月26日

2021年1月26日

誰かに「届ける」ということを、改めて大切だなぁと感じている今日このごろです。

とかく、料理人をやっていると「拵(こしら)える」ということには一所懸命になれます。お客様が喜ぶ姿を想像しながら、もっともっと喜んでもらおうと必死になれるという職人さんはたくさんいるんです。

でも、誰も食べてくれる人がいないとどうしようもない。ということは、この新型コロナウィルスのせいで痛感しているのは僕だけじゃないと思います。なんだか、一所懸命になれる場所を奪われたような気分です。コロナなんていう可愛い名前で呼んでやるもんか、にっくきアイツと呼びましょう。

ところで、ウィルス感染症のせいにしてはいますけど、平常時だったらどうなんだろうね。だいたい、普段から「届ける」ってことが疎かになっていたんじゃないかと、いまいい機会なので見直しをしています。

「届ける」のは、なにも店内に来てくれたお客様だけじゃないわけですから。平常時だって、テイクアウトやデリバリーはやっていたわけで。このあたり、しっかりと見直さなきゃ。会席料理のお店ってテイクアウトやデリバリー出来るの?という問い合わせをいただく時点で、「届ける」ってことが出来ていないのです。お客様の元に情報が届いていないということになります。昔からある料亭の甘えの部分です。だってさ、昔から仕出し料理ってあるじゃん。おせち料理とか松花堂とか知ってるでしょ。なんていうふうに、お客様の思考に全てを委ねてしまうという、甘えですよね。反省です。

そんなわけで、今日は社内でセールスの基本の勉強会です。

大層なことをやるわけじゃないですけど、営業マンがどうやってセールストークを構築していくのかを論理的に解説しました。馴染みのないメンバーからは「セールストークってなんだかグレーな感じだよね」なんてコメントもあり、そんな感じの捉え方なんだなあと新鮮な気持ちになります。

セールストークっていうのは、お客様に必要な情報をより的確に深く伝えるためのコミュニケーションのことです。そのための技術ってのもあるのですが、もちろん使い方を悪い方に向ければ悪くなるのは包丁と一緒です。今日は、一所懸命に「届ける」技術の基本を学び直しました。

料理だって、言葉だって、僕らの思いを届ける媒介だと思えば一緒ですよね。毎日修行してます。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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