エッセイみたいなもの

今日のエッセイみたいなもの 2021年2月6日

2021年2月6日

何かを楽しむ、ということには大きく3つの要素があると思っています。楽しむ対象そのもの、つまりは「コンテンツ」が一つ、後はそれを楽しむ「場所」と「誰と」一緒に楽しみを分かち合うかだよね。

いまは、新型コロナウィルスのせいで少し制約がある状態です。

「初節句のお祝い」を「掛茶料理むとう」で「じぃじばぁばと家族」で楽しむ。こんなことが当たり前だった。僕らは、それに合わせた「お祝いにふさわしい料理」というコンテンツと「楽しめる空間」という場所の2つを用意して、3つめの「誰と」はお客様が用意するのが普通です。

『人が集まる』ということが制限されていることで変化しているのって、実は「誰と」の部分が一番大きいのだと思う。「場所」は不特定多数が集まるような環境だけ気にすれば良いわけで、そうでなければあまり心配する必要もないということだろう。

そういう観点で見れば、一番安心なの「誰と」なら家族だし、「場所」なら自宅かな。

僕は家族と過ごす時間がとても好きなので、楽しいことは家族と一緒に分かち合いたい。だから、あまり制約がないとも言える。遠方から両親を招くときだけはちょっと気をつけるくらいです。

そうなるとやっぱり「場所」かなあ。自宅も良いけれど、そこは生活の圏内というか中心地なので、あんまり特別感がないよね。ということで、ちょっと工夫してみるのはどうだろうか。リビングを片付けて、特別なお客様を迎えるかのようなしつらえにしてみるだとか、テレビにキレイな布をかけて見えなくするだとか、庭やベランダに食事スペースを用意するだとか。いろいろと考えてみる。なかなか良さそうだ。

自分で言うのもなんだけれど、うちのお店って「場所」づくりにけっこう手間がかかっているんだなあ。自宅に置き換えてみると、よくわかる。これって「仕事だから」やれている部分もあるかも。

今年はお客様が少ないけれど、何度か来店されている方はお店の環境を知っているので今年も来てくださっている。基本的に不特定多数との接点がかなり少ないですからね。それでも、小さなお子様がいたりすると心配はあるよね。そういうお客様からは、仕出し料理のご注文を頂いています。「ホントはお店に行きたいんだけどね。」そんな言葉を添えながら。ありがとうございます。

日本料理は世界でもトップクラスでテイクアウト文化が発展しています。金額で言えば数百円から数万円まで幅広く存在しているんですよね。フレンチのフルコースをお弁当に仕立てるとか、あんまり聞かないでしょ?そういうの、日本では何百年も前からやってるんですって。僕らの業界では仕出しっていいます。

「場所」を少しアレンジして「誰か」と「仕出し料理」を楽しむ。そんな楽しみも良いね。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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