エッセイみたいなもの

今日のエッセイ 進化したご飯 2021年3月4日

2021年3月4日

「始めちょろちょろ中ぱっぱ」昔から言われるごはんを炊くときの火加減ですね。実はもう通用しないって聞いたらどう思うかしら。「始めちょろちょろ中ぱっぱ」っていうのは、カマドの羽釜を使っていた頃のお話。土鍋で同じようにやっても上手にご飯が炊けるわけじゃない。

ご飯に限った話ではないのだけれど、時代とともに「調理の最適解」も変化する。というのも、調理器具の進化や、食材そのものが変わっているからだ。

皆さん、お米を研ぐときはどうやっていますか?

もしかしたら、お母さんやおばあちゃんから「もっと力を入れてゴシゴシと」とか「お米をひとつかみ包んで、お米とお米をこすり合わせて」などと教わっているかもしれないよね。ほんの30年くらい前までは、これで良かった。僕もそう教わったしね。

なのだけれど精米技術がかなり進化した現在は、お米のギリギリまで糠を削ぎ落とすことが出来るようになっている。その極みが無洗米。まるで水で洗い流したかのようにギリギリまで糠を削ぎ落としてあるんだ。だから、お米(市販されている精製米)は、“研ぐ”というよりは“洗う”に近い感覚が最適解と言えるかな。あんまりゴシゴシやると、お米が割れちゃったり旨味や栄養が流れ出てしまったりするから。洗うくらいの感覚でいると丁度良いと思います。

参考までに、僕の「ご飯の炊き方」を書いておきますね。

【お米を洗って炊飯器で炊くまで】

1.ボウルにザルを組み合わせた中でお米をざっと洗うって、水を切る。

2.水道などで流水を当てながら指先でかき混ぜるように3~4回洗う。

3.ザルでしっかり水をきってからキレイな水を入れて15分~30分お米を浸す。

4.浸水に使った水を捨てて、ザルに15分くらいあげておく。

5.お米を炊飯器に入れて、分量の水を加えたら「早炊きモード」でスイッチオン。

  これは、機種だったり、お米の品種や時期だったりに影響されるので各家庭で調節してください。

6.炊きあがったら、空気を入れるようにふんわり混ぜる。

  で、なるべく早く食べる!

お米の種類も増えているし、精米技術もどんどん進化している。もちろん炊飯器も進化しています。

つまり伝統的なご飯の炊き方が、伝統的な美味しいご飯を炊けるわけじゃないってことだね。今回はご飯について書いたのだけれど、他の料理でもいろいろと変化が起きている。そのうち思いついたらまた書きますね。

  • この記事を書いた人

武藤太郎

掛茶料理むとう2代目 ・代表取締役・会席料理人 資格:日本料理、専門調理師・調理技能士・ ふぐ処理者・調理師 食文化キュレーター・武藤家長男

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